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2009-11-06掲載 相次相続の取得費加算

2009-11-06 (Fri) 18:54
Q 私の父は平成19年に、母は平成20年にそれぞれ死去したのですが、私は、母が父から相続した上場株式を相続しました。相続した上場株式については、父から母への相続のとき、母から私への相続のとき、それぞれ相続税を納税しています。この上場株式を売却しようと考えているのですが、譲渡所得の計算上「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」の扱いは、どのようになるのでしょうか。

A ご質問にあります「相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例」とは、相続又は遺贈により取得した財産を、相続開始の翌日から相続税申告書の提出期限の翌日以後3年以内、すなわち相続発生日の翌日から310ヶ月以内の間に譲渡をした場合について、その譲渡した資産の譲渡所得の計算における取得費について、一定の算式により計算した相続税額を加算することができるというものです。
譲渡資産が株式の場合、加算できる取得費は、次の算式で計算されます。

譲渡した対象資産に係る取得費加算額=譲渡者に係る確定相続税額×
 譲渡資産の相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額÷譲渡者の相続税の課税価格(債務控除前)

 なお、加算できる金額は、譲渡収入からこの特例を適用しない場合の取得費及び譲渡費用を控除した額が限度となります。すなわち、譲渡益が0になるまでが上限となりますのでご留意ください。
 ところでこの特例は、相続発生日の翌日から3年10ヶ月と比較的長い期間適用可能であり、ご質問のように、第1次相続の特例の適用可能期間中に第2次相続が発生することも十分考えられます。
 このような場合、(1)第2次相続に係る相続税額を基にして取得費に加算される相続税額を計算するか、(2)第1次相続人が死亡する直前において取得費に加算できる金額を第2次相続人が継承しているとみなして取得費に加算できる相続税額を計算するか、のいずれかを選択することができます。
 譲渡資産が株式の場合、(1)を選択する場合は、先ほど示した式に第2次相続に係る金額をあてはめ求めます。(2)を選択する場合には、次の算式で計算します。なお、特例対象資産とは、第1次相続人の相続税の課税価格の計算の基礎に算入された譲渡所得の起因となる資産(物納または物納申請中の土地等を除く)を指します。 

 譲渡した対象資産に係る取得費加算額=A×第2次相続人の第2次相続に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入された特例対象資産である譲渡資産の価額÷第2次相続に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入された特例対象資産の価額の合計額

 ただし、

 A=第1次限度額×
第2次相続人の第2次相続に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入された特例対象資産の価額の合計額÷第2次相続に係る相続税の課税価格の計算の基礎に算入された特例対象資産の価額の合計額

 第1次限度額=(第1次相続に係る相続税額×第1次相続に係る特例対象資産の価額の合計額÷第1次相続に係る相続税の課税価格(債務控除前))-既に適用を受けた取得費加算

 第1次相続の規模が第2次相続の規模より大きい場合には、(2)の方法で計算した方が取得費に加算できる額がより大きくなる傾向にあります。ただ、一概にそうであるという訳ではありませんので、個々の事例で実際に計算を行い、どちらが有利か判断を行う必要があります。