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証券新聞20090610

2009-06-10 (Wed) 09:27
Q.私(67歳)は、個人で収益物件(土地と建物)を所有しており、小売業者に賃貸しています。立地が良いこともあり、小売業者の業績は安定しており、将来的にも賃貸物件からそこそこ安定した収益が得られると思われます。
最近、長男(37歳)にこの収益物件を贈与することを考えています。しかし、長男は自己の財産をあまり持っておらず、贈与したとしても贈与税の納付が困難かもしれません。
他に良い方法があれば教えて下さい。なお、妻は他界しており、他の相続人である次男(35歳)には、私の経営する会社の株式を承継させようと考えています。

20090610



A.たとえ今回のご質問のような収益物件や、優良な会社の株式を持っていたとしても、何ら相続対策を行わないままあなたがお亡くなりになると、相続人は相続税納付のために、これらの財産を泣く泣く手放さなければならない状況に陥ることがあります。生前に相続対策を検討されることはよいことです。
ご質問の件ですが、分離型信託受益権を用いて信託開始時に元本受益権を贈与することが考えられます。
信託とは、委託者が信託行為(例えば、信託契約、遺言)によってその信頼できる人(受託者)に対して、金銭や土地などの財産を移転し、受託者は委託者が設定した信託目的に従って受益者のためにその財産(信託財産)の管理・処分などをする制度です。分離型信託受益権とは、元本受益権と収益受益権とに分離されたものをいいます。
ご質問のケースに当てはめると、元本受益権は収益物件自体(土地と建物)を受けることのできる権利、収益受益権は収益物件から得られる家賃を受け取ることのできる権利です。
財産評価基本通達によると、元本の受益者と収益の受益者が同一人である場合の信託受益権は、課税時期における信託財産の価額によって評価します。
一方、元本の受益者と収益の受益者が異なる場合の信託受益権の評価は次のようになります。
(1)       
元本受益権
課税時期における信託財産の価額-(2)
(2)       
収益受益権
課税時期の現況において推算した受益者が将来受けるべき利益の価額ごとに課税時期からそれぞれの受益の時期までの期間に応ずる基準年利率による複利現価率を乗じて計算した金額の合計額(いわゆる将来収益の割引現在価値)
(2)が大きくなれば、(1)が小さくなるという関係にあることが分かります。また、信託期間は決まっていますので、時の経過により(2)は減少していき、(1)が増加していきます。
元本受益権の贈与に当たっては、相続時精算課税を利用することが考えられます。
相続時精算課税とは、一定の要件を満たせば、2,500万円までは課税されず、2,500万円を上回る部分については税率が一律20%という制度です。相続時精算課税を選択すると、実際の相続発生時には、相続財産に生前贈与された財産(生前贈与財産の価額は贈与時の時価)を含めて相続税額の計算及び申告を行うとともに、いったん納付した贈与税額を精算します。
相続時精算課税を選択するための主な要件は次のとおりです。
贈与者は65歳以上の親であり、受贈者は贈与者の20歳以上の子(子が亡くなっているときには20歳以上の孫を含みます。)であること(年齢は贈与の年の1月1日現在のもの。)。
贈与を受けた年の翌年3月15日までに、「相続時精算課税選択届出書」などを贈与税の申告書に添付して納税地の所轄税務署長に提出すること。
なお、相続時精算課税はいったん選択すると、贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできませんのでご留意下さい。
ご質問のケースですと、あなたは67歳、長男は37歳なので、相続時精算課税を選択することができます。
贈与時には相対的に低い評価の元本受益権について2,500万円を超えた金額につき20%の税率で課税されます。また、相続発生時には相対的に低い評価の収益受益権および贈与時の相対的に低い価額の元本受益権について課税されます。