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非上場株式の無償贈与(証券新聞20090408)

2009-04-08 (Wed) 11:05
現在、私が所有している上場株式を私が100%所有している持株会社に譲渡することを考えています。株式の対価を受け取ってしまうと所得税が私に課されるので無償で贈与しようと思います。もしくは少額だけでも金銭を受領しておいた方が所得税の課税上望ましいのでしょうか。
その他留意すべき事項があれば教えてください。

20090408


残念ながら、株式を法人に無償で贈与するとみなし譲渡としてあなたに所得税が課されてしまいます。
原則として、株式の譲渡により生じた所得は譲渡所得として課税されます。譲渡所得の金額は、所得に係る総収入金額から取得費、譲渡費用等を控除して計算します。
ここでいう総収入金額は、原則として、その年において収入すべき金額
(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益を受領する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額によります)です。実際に売却代金、補償金等の金銭その他の経済的利益がない場合、原則的には譲渡所得は生じないこととなります。
ただし、「法人」に対する資産の贈与は、譲渡時における価額に相当する金額(時価)により、資産の譲渡があったものとみなす旨所得税法において規定されています。
つまり、譲渡所得の計算において、受領した対価はゼロであるにも関わらず時価で譲渡したとみなされ、時価から取得費等を控除した金額
(=譲渡所得金額)に対して所得税が課されてしまいます。
 
一方で、贈与ではなく、少しでも対価を受け取れば時価による課税はないのかというと、
必ずしもそうではありません。
贈与でない場合であっても、所得税法上「著しく低い価額の対価」により株式を譲渡した場合には時価で譲渡したとみなされてしまいます。
具体的に「著しく低い価額の対価」とは、時価の
2分の1に満たない金額が該当します。たとえ対価として金銭を受領した場合であっても時価の2分の1に満たない金額である場合には時価で譲渡したとみなされますのでご注意ください。
なお、法人に対して1つの契約で2つ以上の株式の譲渡を行う場合には、契約により譲渡したすべての資産の対価の額の合計額を基として判定します。
これは個々の資産ごとに低額譲渡に該当するかどうかを判定すると、個々の資産の譲渡対価が恣意的に付された場合に不合理な結果となるおそれがあり、このような恣意性を少しでも排除するためという趣旨により定められています。
前述のとおり、法人に資産を時価より低い価額で譲渡した場合においても、その譲渡の対価の額が時価の2分の1以上の額であれば、みなし譲渡(時価課税)の規定は適用されません。ただし、ご質問のケースでは、株式の譲渡先の法人は所得税法に定める同族会社に該当しますので「同族会社等の行為又は計算の否認等」の規定が適用される可能性があることにも留意すべきです。
「同族会社等の行為又は計算の否認等」とは、同族会社の行為又は計算のうち、同族会社の株主等の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、税務署長が否認することができるというものです。
同族会社等の行為計算の否認規定が発動されると、譲渡の対価の額が時価の2分の1以上の価額であったとしても、その譲渡により、株主の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合に、時価に相当する金額によって収入金額を計算、つまり、時価により課税されてしまうこととなります。
 
その他留意すべき事項として、株式譲渡の対価として必ず金銭である必要はないことです。前述のとおり、譲渡所得計算上の総収入金額には、金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額も含まれます。
例えば、株式を法人に譲渡して、その株式の譲渡と引換えに債務の引受又は免除を行った場合には、その債務の額が株式の譲渡の対価に該当します。
この場合でも、債務の額が株式の時価の
2分の1に満たないときは、時価による譲渡があったものとして譲渡所得の課税が行われることとなります。
また、株式譲渡の対価が株式の時価よりも高い金額である場合には、その差額が売主(法人の役員であると仮定した場合)に対する給与と認定され、給与課税がなされるとともに、法人においては当該給与認定額は損金不算入の対象とされるおそれがあります。