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証券新聞5/9号「RSUの確定申告漏れについて」

2017-05-09 (Tue) 10:43
Q.私は外国法人の親会社を有する日本法人に勤めており、ボーナスとして金銭の代わりに親会社のRSU(リストリクテッド・ストック・ユニット)が付与されました。過去、RSUの権利が確定し、取得した親会社株式を譲渡しておりますが、会社から発行された源泉徴収票により年末調整され課税関係は終了したと思い込んでおりました。
先般、税務署から当該所得について確定申告が必要だと連絡がありました。
当該RSUの税務上の取扱いについて教えてください。

20170509

 

A.
(1)RSU(リストリクテッド・ストック・ユニット)とは
RSUとはRestricted stock unitの略で、海外の親法人等の現物株式を役員・従業員に直接付与する株式報酬制度の一種です。RSUは、制限期間を設定し、制限期間が満了した時から数年に渡り一定の株式が交付されます。また、株式の制限が解除し権利が確定する日には雇用関係がなければならないといった条件がつけられるため、中長期の企業価値向上へのインセンティブの他、人材のリテンション効果が期待されます。
ストックオプションは株式の値上がり益が経済的な利益の額となりますが、RSUは株価全体が支給額となる点で異なります。
また、日本において平成28年の税制改正で整備がされたリストリクテッド・ストック(特定譲渡制限付株式、RS)は、当初付与時に株式を交付し譲渡が制限されている点で異なります。

(2)RSUの課税関係について
RSU株式付与時には株券の交付は行われないことから、株式の売却等の実質的な処分権がなく経済的な利益を享受していないと認められるため、課税関係は生じません。
制限が解除され権利が確定した場合には、その日における時価相当額を収入金額として認識します。通常、RSUの付与は、会社との雇用契約またはこれに類する関係に起因するため、給与所得となります。よって、国内法人から受領している給与所得の他、RSUの権利確定による追加の給与所得が生じるため、確定申告が必要となります。
なお、権利が確定した日に株式を取得したとみなすため、その日における時価相当額、つまり給与課税された金額が株式の取得価額となります。実際に売却をする場合は、譲渡収入の対価と当該取得価額の差額が譲渡所得(申告分離課税として所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)となります。

(3)給与所得としての計算及び換算の際に使用される為替レート
経済的利益の額の算式については、以下のとおりとなります。
制限解除日の市場価格×制限解除株式数×TTM(対顧客直物電信売相場と対顧客直物電信買相場の中値)

(4)源泉徴収および法定調書
RSUにより取得する株式は外国法人である親会社から直接受け取り、親会社が海外で支払いの手続きを行う事が多いため、一般的には日本子法人では源泉徴収事務が行われません。よって、年末調整で税額の精算は終わらず確定申告をすることになります。RSUは海外の証券口座で管理されており申告が漏れる事例が多いため注意しなければなりません。
なお、日本法人においては、外国親法人等から株式関連報酬を付与され行使を行ったことにより経済的利益を享受した役員等がいる場合、供与があった日の属する年の翌年3月末日までに、「外国親会社等が国内の役員等に供与等をした経済的利益に関する調書」を税務署に提出します。調書の提出対象となる株式関連報酬には、ストックオプションの他、RS(リストリクテッド・ストック)やRSU(リストリクテッド・ストック・ユニット)・PS(パフォーマンス・シェア)等が含まれます。調書には、一人別に権利の種類や、利益が生じた日、利益の金額や利益の種類を記載しますので、税務署は各人の所得金額を把握することができます。 

(5)その他の留意事項
取得した外国株式について海外の口座で配当を受領している場合には、配当所得について申告不要を選択できません。また、配当について現地で源泉徴収されている時には、外国税額控除を適用することができます。給与所得や譲渡所得と合わせて、申告する必要があります。