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証券新聞10/6号

2016-10-06 (Thu) 10:29
証券新聞10/6号「上場株式を相続した際及び相続後売却した場合の税務上の留意点」
Q.先日亡くなった父の遺産の整理をしていたところ、複数の金融機関に多くの銘柄の上場株式を保有していたことがわかりました。
相続人は兄と私の2人だけで、遺言書もなく、現時点ではこれらの上場株式をどちらが相続するかは決まっていません。もし私が相続することになった場合には早めに売却して換金したいと考えています。
そこで、上場株式を相続する場合と、相続した後に売却・換金する場合の税務上の留意点がありましたら教えてください。

20161007

 
A.
1.上場株式の評価額について
上場株式の相続税上の評価額は、課税時期(相続開始日)の最終価格(終値)によって評価します。ただし、次のA~Cのうち、最も低い価額を使用することもできます。
A,課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
B,課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
C,課税時期の月の前々月の月の毎日の最終価格の平均額

2.配当期待権の評価額について
相続開始後に株式に係る配当金が支払われることがあります。配当期待権とは、配当基準日後に相続が開始した場合で、未だ配当が支払われていないものをいいます。配当期待権の相続税上の評価額は、課税時期後に受けると見込まれる予想配当の金額から当該金額につき源泉徴収される所得税・復興特別所得税・住民税を控除した金額となります。

3.相続する際の分割上の留意点
相続財産の分割方法には大きく現物分割、代償分割、換価分割の3つの方法がありますが、ここでは現物分割と換価分割の2つをご説明いたします。
現物分割は財産の現物を各相続人で分け合う方法で、最も簡単な方法です。
一方、換価分割は各相続人が共同で相続財産を売却・換金したうえで、現金を各相続人で分け合う方法です。換価分割の場合も、相続税上の課税価格は換金後の現金ではなく、1.により評価された株式の価額となりますので、注意が必要です。換価分割の場合の課税価格は各相続人の売却代金の取得割合に応じて、1.の評価額を按分することになります。
なお、上場株式の時価は日々変動しますので、現物分割の場合には公平性の観点から相続税評価額だけでなく分割時点の価額も考慮することが望まれます。また、各相続人の売却時には税金が発生することから、税引き後の手取額も考慮しなければ相続人間で不公平となる可能性があります。
お兄様も上場株式を早めに処分することをお考えであれば、上場株式については換価分割にする、という選択肢も考えられます。

4.相続後換金(売却)する場合の留意点
現物分割による相続後、上場株式を売却し譲渡益が発生した場合には、分離譲渡所得として所得税が課税されます。譲渡損が発生した場合にはその年中の他の株式等の譲渡益や配当金と相殺することができます。なお、相続により取得した株式を売却した場合、譲渡損益の計算上、被相続人の取得価額を引継ぐこととなります。ただし、被相続人の取得価額が不明な場合には、取得価額を売却代金の5%とすることができます。
換価分割により現金を相続した場合にも、税務上の取り扱いは現物分割の場合と同様です。譲渡所得の計算上は、各相続人の売却代金の取得割合に応じて譲渡価額、取得費、譲渡費用を按分することになります。
また、相続財産を譲渡した場合には取得費加算の適用を受けることができます。取得費加算とは、相続人に相続税が課税された場合に、相続税額の一部を譲渡所得の計算上取得費に加算できるというものです。取得費に加算する相続税額は以下のように計算します。

(算式)
20161006図



取得費加算額は取得費加算考慮前の譲渡益相当額が限度となります。なお、取得費加算の適用を受ける場合には、申告期限の翌日から3年以内に譲渡をしている必要があります。