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証券新聞5/19号「海外で株式を譲渡した場合の課税関係」

2016-05-19 (Thu) 13:11
Q1.日本居住者である私が海外において外国株式を譲渡した場合、日本で所得税の納税義務は発生しますでしょうか。

20160519
 
A2.日本の居住者は、原則として国内で生じた所得及び国外で生じた所得のいずれについても、日本で課税されることとなります。
したがって、日本の居住者が海外において株式等を売却したことにより得た譲渡益全般について、国内で株式等を売却した場合と同様に、課税されることとなります(「居住者」とは、日本国内に住所があるか、又は現在まで引き続いて1年以上居所がある個人をいいます)。居住者は、国内で生じた所得及び国外で生じた所得のいずれについても日本で課税されますが、国外所得について外国の法令で所得税に相当するもの(以下「外国所得税」といいます。)が課税される場合、同一の所得に対して同種の租税が日本及びその外国の双方で二重に課税されることとなります。この国際的な二重課税を調整するために、外国で課税された外国所得税の額のうち一定額を日本の所得税の額から差し引くことができます。これを外国税額控除といいます。この外国税額控除を受けるためには、一定の書類を添付して株式等を売却した年分の確定申告書をする必要があります。
なお、日本の居住者が、海外で株式等を売却したことにより得た譲渡益に対しては、租税条約により外国所得税が課税されない(日本においてのみ所得税が課税される)場合があります。

Q2.そうしますと、私が海外居住者となった場合には、海外で外国株式を譲渡した場合、日本で所得税の納税義務は発生しないという理解でよろしいでしょうか。
A2.日本の居住者でない者(非居住者)が、海外で行った株式の譲渡については日本において課税権限はないため、当該譲渡に関して日本で課税されることはありません。
ただし、平成27年度税制改正により、国外転出時課税制度が創設され、平成27年7月1日以後に国外転出(国内に住所及び居所を有しないこととなることをいいます。)をする一定の居住者が1億円以上の対象資産を所有等している場合には、その対象資産の含み益に所得税及び復興特別所得税が課税されることになりました。
従って、非居住者となる際に、1億円以上の対象資産を所有している場合には、日本国内において含み益相当額に課税が行われることとなりますので、ご留意ください。

ここで国外転出時課税とは、国外転出をする時点で、1億円以上の対象資産を所有等している一定の居住者に対して、国外転出の時に、対象資産の譲渡等があったものとみなして、対象資産の含み益に対して所得税が課税される制度です。
【対象者】
この制度の対象者は、次の(1)及び(2)のいずれにも該当する方です。
(1) 国外転出の時に所有等している対象資産の価額等(未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引については、決済をしたものとみなして算出した利益の額又は損失の額に相当する金額)の合計額が1億円以上であること。
(2) 原則として、国外転出をする日前10年以内において、国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年を超えていること。
【対象資産】
この制度の対象資産には、有価証券(株式や投資信託など)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引及び未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)が該当します。
【納税猶予制度】
国外転出時課税の申告をする方が、国外転出の時までに納税管理人の届出をするなど一定の手続を行った場合は、国外転出時課税の適用により納付することとなった所得税について、国外転出の日から原則5年間(延長の届出により最長10年間)、納税を猶予することができます。
なお、納税猶予期間中は、各年の12月31日において所有等している適用資産(納税猶予の特例を受けている対象資産をいいます。)について、引き続き納税猶予の特例を受けたい旨を記載した届出書(「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等に係る納税猶予の継続適用届出書」)を翌年3月15日までに、所轄税務署へ提出する必要があります。
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