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証券新聞5/10号
2016-05-10 (Tue) 15:11
『株式等を取得するために要した負債の利子の取扱』
Q.日本では、日銀がマイナス金利政策を導入して長期金利がマイナスになるなどの影響が出ています。今後、低い利率で融資を受けられるようであれば、投資資金を借り入れることも検討しています。個人が借入れた資金を用いて株式等へ投資を行った場合、税制上どのような取扱いとなりますか。

Q.日本では、日銀がマイナス金利政策を導入して長期金利がマイナスになるなどの影響が出ています。今後、低い利率で融資を受けられるようであれば、投資資金を借り入れることも検討しています。個人が借入れた資金を用いて株式等へ投資を行った場合、税制上どのような取扱いとなりますか。

A.
一.配当所得
まず、所得税の配当所得の計算上、配当収入額から株式を取得するために要した負債の利子を控除できる場合があります。
対象となる配当には、株式会社等からの配当の他、REIT等の投資法人からの金銭の分配、投資信託の収益の分配等が含まれます。ただし、源泉分離課税の対象となる配当や、申告不要制度の適用を受ける配当からは控除できません。
また、配当収入から控除する負債の利子は、配当所得を生じさせる株式等の元本を取得するために要した負債に関する利子が対象となります。よって、事業所得や譲渡所得、雑所得の基因となった株式等を取得するために要した負債の利子は対象になりません。配当収入から控除できる利子と控除できない利子を明確に区分することが困難な場合は、次の算式(1)により計算した金額を配当収入から控除すべき利子とすることができます。
(算式(1))
配当収入 株式等を取得する 配当所得の収入金額
から控除す = ために要した負債 ×――――――――――――――――――――――――
べき利子 の利子の総額 配当所得の + その利子の額を差し引く前の
収入金額 株式等に係る譲渡所得等の金額及び
総合課税の株式等に係る事業所得等の金額
この算式(1)により計算した金額が配当収入額を超える場合は、その超過額を株式譲渡所得や株式等に係る事業所得等から控除することができます。
また、配当収入額から控除できる利子は、支払う負債の利子のうち株式等の元本を所有していた期間に対応する部分の金額であり、具体的には以下の算式(2)により計算します。
(算式(2))
配当収入から = その年中に支払う ÷ 12 × その年中に負債により取得した
控除する利子 負債の利子 株式等の元本を所有していた月数
この算式(2)により計算した利子の額は、その負債により取得した株式等の配当からだけでなく、他の株式等の配当からも控除できるとされています。
負債により取得した株式等の一部を譲渡した場合には、譲渡後に残った株式等に係る負債の額はその負債によって取得した株式等の銘柄ごとに次の算式(3)により計算します。
(算式(3))
譲渡後に残った 譲渡直前のその銘柄 その譲渡直後のその銘柄の株式等の数
株式等に係る = の株式等を取得する × ――――――――――――――――――――――
負債の額 ために要した負債の額 その譲渡直前に所有していたその銘柄の株式等の総数
二.譲渡所得
次に、所得税の株式等譲渡所得の計算上、譲渡収入額からその株式等を取得するために要した負債の利子を控除できる場合があります。対象となる譲渡には株式や持分会社の持分の譲渡の他、投資信託の受益権の譲渡等が含まれます。
また、譲渡した株式等を取得するために要した負債の利子と配当所得等の他の所得の起因となった株式等を取得するために要した負債の利子を明確に区分することが困難な場合は、前述の算式(1)中の分子を「その利子の額を差し引く前の一般株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る譲渡所得等の金額」に替えて計算した金額を株式等の譲渡収入から控除すべき負債の利子とすることができます。
さらに、株式等の譲渡収入から控除する負債の利子においても、配当収入から控除する負債の利子と同様に、その年中に支払う負債の利子のうち、その年中における譲渡した株式等の所有期間に対応する金額が控除の対象となります。
三.事業所得・雑所得
最後に、所得税の計算上、営利を目的として継続的に行う株式等の譲渡による所得は、その事業的規模に応じて事業所得又は雑所得となりますが、この場合においても前述の考え方に基づいて計算した負債の利子の金額を事業所得又は雑所得の計算上控除することができます。
一.配当所得
まず、所得税の配当所得の計算上、配当収入額から株式を取得するために要した負債の利子を控除できる場合があります。
対象となる配当には、株式会社等からの配当の他、REIT等の投資法人からの金銭の分配、投資信託の収益の分配等が含まれます。ただし、源泉分離課税の対象となる配当や、申告不要制度の適用を受ける配当からは控除できません。
また、配当収入から控除する負債の利子は、配当所得を生じさせる株式等の元本を取得するために要した負債に関する利子が対象となります。よって、事業所得や譲渡所得、雑所得の基因となった株式等を取得するために要した負債の利子は対象になりません。配当収入から控除できる利子と控除できない利子を明確に区分することが困難な場合は、次の算式(1)により計算した金額を配当収入から控除すべき利子とすることができます。
(算式(1))
配当収入 株式等を取得する 配当所得の収入金額
から控除す = ために要した負債 ×――――――――――――――――――――――――
べき利子 の利子の総額 配当所得の + その利子の額を差し引く前の
収入金額 株式等に係る譲渡所得等の金額及び
総合課税の株式等に係る事業所得等の金額
この算式(1)により計算した金額が配当収入額を超える場合は、その超過額を株式譲渡所得や株式等に係る事業所得等から控除することができます。
また、配当収入額から控除できる利子は、支払う負債の利子のうち株式等の元本を所有していた期間に対応する部分の金額であり、具体的には以下の算式(2)により計算します。
(算式(2))
配当収入から = その年中に支払う ÷ 12 × その年中に負債により取得した
控除する利子 負債の利子 株式等の元本を所有していた月数
この算式(2)により計算した利子の額は、その負債により取得した株式等の配当からだけでなく、他の株式等の配当からも控除できるとされています。
負債により取得した株式等の一部を譲渡した場合には、譲渡後に残った株式等に係る負債の額はその負債によって取得した株式等の銘柄ごとに次の算式(3)により計算します。
(算式(3))
譲渡後に残った 譲渡直前のその銘柄 その譲渡直後のその銘柄の株式等の数
株式等に係る = の株式等を取得する × ――――――――――――――――――――――
負債の額 ために要した負債の額 その譲渡直前に所有していたその銘柄の株式等の総数
二.譲渡所得
次に、所得税の株式等譲渡所得の計算上、譲渡収入額からその株式等を取得するために要した負債の利子を控除できる場合があります。対象となる譲渡には株式や持分会社の持分の譲渡の他、投資信託の受益権の譲渡等が含まれます。
また、譲渡した株式等を取得するために要した負債の利子と配当所得等の他の所得の起因となった株式等を取得するために要した負債の利子を明確に区分することが困難な場合は、前述の算式(1)中の分子を「その利子の額を差し引く前の一般株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る譲渡所得等の金額」に替えて計算した金額を株式等の譲渡収入から控除すべき負債の利子とすることができます。
さらに、株式等の譲渡収入から控除する負債の利子においても、配当収入から控除する負債の利子と同様に、その年中に支払う負債の利子のうち、その年中における譲渡した株式等の所有期間に対応する金額が控除の対象となります。
三.事業所得・雑所得
最後に、所得税の計算上、営利を目的として継続的に行う株式等の譲渡による所得は、その事業的規模に応じて事業所得又は雑所得となりますが、この場合においても前述の考え方に基づいて計算した負債の利子の金額を事業所得又は雑所得の計算上控除することができます。