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証券新聞2/18号「上場株式等の配当等の申告について」

2016-02-18 (Thu) 14:54
Q.私は昨年からサラリーマンの傍ら資産形成のために上場株式や公募株式投資信託への投資を始めました。上場株式の配当金や投資信託の収益分配金には申告方法がいくつかあり、それぞれ有利不利があると聞きました。改めてこれらの内容とその有利不利について教えて下さい。

20160218


A.
1.上場株式等の配当等の課税方法
個人投資家が受取る上場株式の配当金や公募株式投資信託の収益分配金は配当所得として、原則、総合課税となります。そのため、給与など他の総合所得と合算した上で累進税率による課税となります。
一方、平成21年1月1日以降に支払を受けるものについては申告分離課税を選択することができます。この場合、金額の多寡に関わらず一律で20.315%(所得税、復興特別所得税、住民税合計)の課税となります。上場株式等の譲渡損失がある場合には、分離課税を選択することで配当所得と通算することができます。
上記はいずれも確定申告が必要となりますが、申告不要を選択することも認められています。配当金や収益分配金は受領時に20.315%源泉徴収されますが、これを確定申告書に反映させなくても、この源泉徴収をもって課税関係は終了となるためです。
総合課税を選択した場合、一定のものについては配当控除という税制上の優遇措置を利用することができますが、分離課税、申告不要を選択した場合に配当控除は利用できません。
(まとめ)
申告方法 税率 必要手続 譲渡損との通算 配当控除
総合課税 累進税率 確定申告 不可
申告分離課税 20.315% 確定申告 不可
申告不要 20.315% 不要 不可 不可
 
2.申告方法による有利不利の判定
申告方法による有利不利は、一般的に総合所得の金額により判断します。総合課税は、総合所得金額が増えるにつれ税率が上がる仕組みになっています。一方、分離課税は所得金額の多寡に関わらず一律20.315%となります。そのため、分離課税の税率である20.315%以下の税率が適用されるか否かが有利不利判定の目安となります。また、これに加え配当控除を加味して判断する必要があります。配当控除とは、所得金額10百万円以下の部分については、配当所得に対し所得税10%、住民税2.8%の合計12.8%、10百万円超部分については、所得税5%、住民税1.4%の合計6.4%の税額を控除できるという制度です。投資家の受けとる配当金は既に法人税が課税されており、個人所得税との二重課税を排除するためにこの制度が設けられています。そのため、総合課税の税率からこの配当控除を加味した実質負担率よって有利不利を検討する必要があります。具体的には以下の表の「(5)実質負担率(復興特別所得税込み)」と分離課税20.315%の税率を比較して判断することになります。所得金額が6,950千円越えると実質負担率が20.315%を上回ることになるため、6,950千円以下か否かが1つの目安になります。
(所得金額ごとの実質負担率) 
総合所得 (3)配当控除 (4)実質負担率
( (2)-(3) )
(5)実質負担率(※2)
(復興特別所得税込み)
(6)分離課税
  • 所得金額
(2)税率(※1)
1,950千円超3,300千円以下 20% 12.8% 7.2% 7.2% 20.315%
3,300千円超6,950千円以下 30% 12.8% 17.2% 17.41%
6,950千円超9,000千円以下 33% 12.8% 20.2% 20.473%
9,000千円超10百万円以下 43% 12.8% 30.2% 30.683%
 
※1所得税、住民税の合計となります。
※2所得税、住民税、復興特別所得税の合計となります。
3.注意点
株式投資信託の収益分配金については注意が必要です。上述の通り配当控除は配当金に対する二重課税を防止する趣旨のため、例えば公社債の利息など配当(株式)以外の収益にまで配当控除を認めることは適切ではありません。そのため、信託約款で定められた資産運用割合(株式比率、外貨建資産比率)によって配当控除の適用が認められないものや、適用可能なものであっても1/2(所得税5%、住民税1.4%)、1/4(所得税2.5%、住民税0.7%)に制限されています。そのため、目論見書などで配当控除の取り扱いを確認した上で上記の有利不利を検討する必要があります。
また、申告することによって、国民健康保険料等の増加、所得税や健康保険で扶養に入れない等の影響を受ける可能性があるため、申告の要否の検討が必要となります。