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証券新聞9/17号『配当と株主優待券の課税』

2015-09-17 (Thu) 17:12
Q1.私は配当利回りを重視した株式投資を考えております。上場株式の配当金収入は、配当所得として所得税の認識をする必要があると聞いております。配当所得がある場合には、全て確定申告の必要があるのか教えてください。

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A1.上場株式の配当等で個人株主が支払いを受けるものは、確定申告する場合には総合課税または申告分離課税を選択することができます。また、確定申告しないことを選択することもできます。なお、発行済株式の3%以上を保有する大口株主は総合課税以外で申告できません。

(1)確定申告をする場合
確定申告をする場合は、総合課税または申告分離課税を選択することができます。確定申告をする場合にはその全部を総合課税または申告分離課税のいずれか一方で申告しなければならず、両者を配当ごとに使い分けるといった併用はできません。
 総合課税とは、給与所得や不動産所得といった他の総合所得とされるものと合算して所得金額を算出して、累進税率を適用して所得税額を算出する方法です。
配当所得について、総合課税を選択するメリットは、配当控除という税額控除の適用にあります。配当控除とは、株式の配当金については、課税総所得金額が1000万円までは所得税については配当金の10%、住民税については同2.8%を、課税総所得金額が1000万円を超える場合は所得税については同5%、住民税については同1.4%を、税額から控除する制度です。一般的に、会社員の方は社会保険料の増減を考慮しない場合、課税所得金額が695万円以下であれば総合課税を選択することが有利となります。
これに対し、申告分離課税とは、他の所得と区分して配当所得に対して所得税率15.315%(住民税率5%)が課されます。その際に、上場株式等の譲渡損失がある場合には配当所得から控除することとなります。申告分離課税を選択するメリットは、その年またはその年の前3年以内に生じた上場株式等の譲渡損失がある場合(過年度の損失については損失を繰り越す旨の確定申告が必要となります)は、これらの損失の金額を上場株式等の配当所得の金額から控除することができるため、配当所得を減少させることができます。なお、総合課税と異なり配当控除の適用はありませんのでご留意ください。

(2)確定申告をしない場合
個人株主が支払いを受ける上場株式の配当等については、金額の多少にかかわらず、所得税及び住民税について確定申告不要を選択することができます。よって、確定申告をせずに、配当の支払いを受ける際の源泉徴収(所得税15.315%、住民税5%)だけで、納税が完了することとなります。なお、申告分離課税同様、配当控除の適用はありませんが、申告不要とした配当所得については、その方の合計所得金額に含まれないことになりますので、合計所得金額が基準となる扶養親族の判定についても、申告不要とした場合に一定のメリットがあると考えられます。
 
Q2.私は祖父から相続により取得した非上場株式を保有しております。当該株式は毎年配当を実施しておりますが、こちらについて確定申告の必要があるのか教えて下さい。
A2.非上場株式の配当は、総合課税となりますので、原則として確定申告が必要になります。ただし、少額配当については確定申告不要を選択できます。
少額配当とは、1銘柄につき、1回に支払を受けるべき配当等の額が10万円に配当計算期間の月数を乗じて、これを12で除し計算した金額以下となる配当を言います。
なお、確定申告不要を選択した場合でも、住民税の所得の計算上、少額配当の配当額は申告の対象となります。また、少額配当につき、確定申告不要を選択した場合には、配当控除の適用はありませんのでご留意ください。
 
Q3.私は鉄道業を営む上場会社の株式を保有しており、当該会社の交通機関の利用ができる株主優待券を頂いております。この株主優待券についても確定申告の必要があるのか教えてください。
A3.法人が株主に対して、株主としての地位に基づき供与した経済的な利益は、原則として配当所得に該当し、所得税が課されます。株主優待券についても、法人が株主に対して、株主としての地位に基づいて供与するものです。
しかし、株主優待券は一般的に、法人の利益の有無にかかわらず供与され、法人が剰余金の配当として経理しない限り、配当所得には含まれません。この場合の取り扱いは、原則として雑所得となります。
よって、収入金額が2,000万円以下の給与所得者の方で、他に所得がない場合、株主優待券による収入の金額が20万円以下であれば所得税の確定申告の必要はありません。しかし、20万円を超える場合には、所得税の確定申告をする必要がありますのでご留意ください。