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証券新聞6/18号「国外転出時課税」

2015-06-18 (Thu) 17:39
Q.平成27年7月1日以降に海外へ移住等する場合、所有する有価証券の含み益に対して出国時に所得税が課される場合があると聞きました。具体的にどのような場合に課されるのでしょうか。

20150618
 
A.
1.概要
平成27年度税制改正において、国外転出時課税制度(「国外転出をする場合の譲渡所得等の特例」及び「贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例」)が創設され、平成27年7月1日から施行されます。この国外転出時課税制度は、国外転出をする時点で1億円以上の有価証券や未決済の信用取引などの対象資産を所有している一定の居住者に対して、国外転出の時に、国外転出の時の価額で対象資産の譲渡等があったものとみなして、その対象資産の含み益に対して所得税が課税される制度です。
対象者は、国外転出の時に所有等している対象資産の価額の合計額が1億円以上である方で、かつ、国外転出の日前10年以内において、国内在住期間が5年を超えている方です。

2.対象資産とは
対象資産とは、有価証券(株式や投資信託など)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引及び未決済のデリバティブ取引(先物取引、オプション取引など)が該当します。所有する対象資産の価額の合計額が1億円以上となるかどうかは、国外転出時における有価証券等の価額に相当する金額(時価等)、未決済取引を決済したものとみなして算出した利益又は損失の額に相当する金額の合計額を基に判定します。

3.国外転出とは
国外転出とは、日本国内に住所及び居所を有しないこととなることをいい、1年以上国外で居住する予定で出国する場合などを指します。なお、この国外転出時課税制度において課税の対象となる「国外転出の時」とは、(1)対象者自身が国外転出をする時(国外転出時課税)のほか、(2)対象者が国外に居住する親族等(非居住者)へ対象資産の一部又は全部を贈与する時(国外転出(贈与)時課税)や、(3)対象者が亡くなり、相続又は遺贈により国外に居住する相続人又は受遺者が対象資産の一部又は全部を取得する時(国外転出(相続)時課税)も含みます。(1)(2)では対象者が所得税の確定申告を行って所得税を納付し、(3)では対象者の相続人(包括受遺者を含みます)が対象者の準確定申告を行って所得税を納付します。なお、(1)(2)(3)にはそれぞれ一定の要件の下、次の減額措置等が設けられています。

(1)対象者自身が国外転出をする時(国外転出時課税)
(1)では、対象者が国外転出の日から5年以内に帰国などした場合に、帰国時まで引き続き所有等している対象資産について、国外転出時課税により課された所得税額を取り消すことができます。また、国外転出の時までに納税管理人の届出をするなどの一定の手続を行った場合には、国外転出時課税の適用により納付することとなった所得税について、国外転出の日から5年を経過する日まで納税を猶予することができます。この納税猶予期間は5年延長し合計10年とすることもできます。納税猶予期間中に対象資産を譲渡等した場合の譲渡価額や納税猶予期間満了日まで引き続き所有等していた対象資産の満了日における価額が国外転出時の価額よりも下落している場合は、国外転出時課税により課された税額を減額することができます。さらに、納税猶予期間中に対象資産を譲渡等した際に外国所得税との二重課税が生じる場合は、外国税額控除の適用を受けることができます。

(2)対象者が国外に居住する親族等(非居住者)へ対象資産の一部又は全部を贈与する時(国外転出(贈与)時課税)
(2)では、贈与の日から5年以内に受贈者が日本に帰国などした場合に、帰国時まで引き続き受贈者が所有等している対象資産について、国外転出(贈与)時課税により課された税額を取り消すことができます。また、一定の手続を行った場合には、国外転出(贈与)時課税の適用により納付することとなった所得税について、贈与の日から5年を経過する日まで納税を猶予することができます。この納税猶予期間は5年延長し合計10年とすることもできます。納税猶予期間中に受贈者が対象資産を譲渡等した場合の譲渡価額や納税猶予期間満了日まで引き続き受贈者が所有等していた対象資産の満了日における価額が贈与の時の価額よりも下落している場合は、国外転出(贈与)時課税により課された税額を減額することができます。

(3)対象者が亡くなり、相続又は遺贈により国外に居住する相続人又は受遺者が対象資産の一部又は全部を取得する時(国外転出(相続)時課税)
(3)では、相続開始の日から5年以内に対象資産を取得した非居住者である相続人又は受遺者の全員が日本に帰国などした場合に、帰国時まで相続人又は受遺者が引き続き所有等している対象資産について、国外転出(相続)時課税により課された税額を取り消すことができます。また、対象資産を取得した非居住者である相続人等の全員が国外転出(相続)時課税の申告期限までに納税管理人の届出をするなどの一定の手続を行った場合には、国外転出(相続)時課税の適用により納付することとなった所得税について、相続開始の日から5年を経過する日まで納税を猶予することができます。この納税猶予期間は5年延長し合計10年とすることもできます。納税猶予期間中に対象資産を取得した非居住者である相続人等が対象資産を譲渡等した場合の譲渡価額や納税猶予期間満了日まで引き続き対象資産を取得した非居住者である相続人等が所有等している対象資産の満了日における価額が相続開始の時の価額よりも下落している場合は、国外転出(相続)時課税により課された税額を減額することができます。