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証券新聞5/21号 ストックオプションを相続した場合の留意点

2015-05-21 (Thu) 17:39
Q.私の亡き父は、生前、上場会社A社の役員を務めており、ストックオプションの付与を受けておりました。一部はすでに行使し、A社株式を現物で取得していたものの、大部分は未行使のまま亡くなりました。遺産分割の結果、当該、ストックオプションは私が相続することになりましたが、納税資金の関係から、一部の権利行使及び市場売却を検討中です。
このような場合に、
(1)ストックオプションの相続税評価
(2)相続人である私が権利行使及び売却する際の留意すべき事項
について教えてください。

20150521
 
A.
1.ストックオプションの相続税評価
  ご質問のように、ストックオプションを相続した場合で、それが権利行使期間内にある場合、当該ストックオプションの評価は、次の算式で計算します。 
20150521図

 
なお、A社株式は上場株式のため、「課税時期における対象株式の価額」は、上場株式の評価方法と同様であり、以下の(1)~(4)までの価額のうち最も低い価額により評価を行います。

(1)課税時期の終値
(2)課税時期の属する月の終値の月中平均
(3)課税時期の属する月の前月の終値の月中平均
(4)課税時期の属する月の前々月の終値の月中平均

また上記、ストックオプション評価の計算結果がマイナスになる場合、評価額は0となります。

2.税制適格ストックオプションの場合の留意点
相続人が相続したストックオプションが、税制適格ストックオプションとして付与されたものであり、その権利行使期間内に相続が発生した場合において、他の要件を満たしていれば、相続人は「権利承継相続人」としてその権利を行使することで、税制適格として権利行使益部分について非課税の適用を受けることが出来ます(租税特別措置法29条の2第1項)。
従って、この場合は権利を行使し、その後、売却した際に、権利行使価額と売却価額の差が譲渡所得課税の対象となります。
なお、税制適格ストックオプションの権利行使により取得した株式、いわゆる特定株式は、取り決めに従い、金融商品取引業者等に保管の委託をすることが一般的です。この時、相続人が、当該特定株式を相続した場合に、継続して金融商品取引業者等に保管の委託を行う場合は、引き続き税制適格の適用を受けたまま、特定株式を保有することが可能ですが、仮に相続等に伴って、他の金融商品取引業者の口座に特定株式を移管した場合など、保管委託の終了又は解約による返還等があった場合は、原則として移管した時の時価で譲渡されたものとみなされ、譲渡所得課税の対象となってしまうことになります。この場合は、市場売却を行う前に、みなし譲渡益によって、意図しない課税が生じてしまう可能性があるため、留意が必要です。

3.税制非適格ストックオプションの場合の留意点
​相続人が相続したストックオプションが、税制非適格ストックオプションに該当する場合、相続人は権利行使時において、権利行使価額と権利行使時の時価との差額、いわゆる権利行使益の部分について、課税を受けることになります。  税制非適格ストックオプションの権利行使時の課税に係る所得区分は、例えば付与会社との間に雇用関係等が存在し、それに基づいて付与されている場合は、原則として「給与所得」に該当するものとされています。  しかし、相続人が承継して権利行使したストックオプションに係る権利行使時の課税は、業務に関するものではなく、また、雇用契約等に基づく労務の対価でもないことから、「給与所得」には該当せず、また「事業所得」や「退職所得」にも該当しないものと考えられます。従って、特殊な事情が存在しない限りは、「雑所得」に該当する可能性が高いものと考えられます。
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