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証券新聞4/16号「少人数私募債の今後の留意点について」

2015-04-16 (Thu) 13:26
Q.私は自分が株主となっている同族会社に金銭の貸付を行っています。適正な利率を設定し、利息を収受しています。
 最近、同族会社への金銭の貸付については、金銭消費貸借よりも少人数私募債を通じて貸し付けた方が私の所得税上有利になると聞き、少人数私募債による貸付を考えています。
 ただし、近年の税制改正によって、少人数私募債については近い将来節税効果が得られなくなるとも聞きましたので、なるべく早く発行したいと考えています。
少人数私募債の節税効果とはどのようなものでしょうか。また、今から少人数私募債を発行するうえで注意すべき点があれば合わせて教えて下さい。

20150416

 
A.
1 少人数私募債の概要
少人数私募債とは親族・従業員・取引先などの会社の関係者(縁故者)を対象とした社債です。会社の規模・種類に関係なく発行することができます。
 少人数私募債の発行条件は以下の通りです。
 
 (1) 発行主体が法人であること
 (2) 社債の引受の勧誘対象者が50名未満であること(適格機関投資家を除く)
 (3) 社債総額を1口の金額で割った口数が50未満であること
 (4) 社債が第三者へ譲渡される恐れが少ないこと(譲渡制限を設けること)
 (5) 一定の事項につき告知をしない場合、発行総額を1億円未満にすること
 
 少人数私募債を発行する場合には、有価証券届出書や報告書の提出義務がなく、銀行や信託銀行などの社債管理者を設置する必要がありません。
 また、取締役会の承認のみによって発行することができるため、発行手続きは簡易となっています。
 
2 少人数私募債の節税効果
通常の金銭貸付の場合、受け取った利息は所得税法上雑所得に分類され、他の所得と合算された上で所得税が課税される「総合課税」として取り扱われます。
一方、少人数私募債の場合には、発行法人が利息を支払う際に20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が源泉徴収されますが、発行会社が源泉徴収をするだけで課税関係が終了する「源泉分離課税」となっています。
平成26年時点の所得税率は1,800万円超の部分については40%の税率(平成27年分以降は4,000万円超の部分について45%)が課されることになっていますので、利息以外に所得が相当額ある場合には金銭消費貸借によらず少人数私募債を通じて貸付を行うことにより、税率を低く抑えることが可能となります。
以上のことから、少人数私募債は通常の金銭消費貸借に比べ所得税法上有利な扱いを受けることが可能となるため、節税方法として利用されてきました。
しかしながら、ご質問にありますように平成25年度の税制改正によって、平成28年1月1日以降に同族会社によって発行された少人数私募債の利子で、その株主等が受け取る利子については総合課税の対象となりました。
平成25年度の改正では平成27年12月31日までに発行された少人数私募債については、それ以降の利子についても源泉分離課税が適用されることとされていましたので、駆け込みで発行されることが予想されました。
そこで、平成26年度の税制改正によって、平成27年12月31日以前に同族会社が発行している少人数私募債についても、申告分離課税となる特定公社債の範囲から除外され、平成28年1月1日以降はその利子について総合課税が適用されることとなりました。
 
3 少人数私募債の今後の注意点
平成26年度の税制改正の結果、少人数私募債による税務上のメリットを受けることができるのは今年中(平成27年中)に受け取る利子のみとなります。
ご質問にありますように、仮に平成27年に少人数私募債を発行された場合には、同年中に支払いを受けた利子については源泉分離課税となり、税率を低く抑えることが可能となりますが、翌年以降の利子については、通常の貸付と同様に総合課税が適用されることとなります。
今後少人数私募債を発行される場合には、その節税効果はごく短期間に限られますので、ご注意頂く必要があります。
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