What's New 更新情報

証券新聞12/4号『新投資口予約権に関する投資主の税務』

2014-12-04 (Thu) 16:53
Q.昨今の法改正によりJ-REIT等の投資法人でも株式会社のようにライツ・オファリングによる資金調達が可能になったと聞きました。これによると投資法人から投資主に対し無償で「新投資口予約権」というものが割り当てられるということですが、この「新投資口予約権」は所得税上どのように取り扱われるでしょうか。

20141204
 
A.
1.制度概要
平成25年6月19日に公布された金融商品取引法等の一部を改正する法律第9条により、投資信託及び投資法人に関する法律の一部が改正され、投資法人の資金調達手段としてライツ・オファリングが認められることとなりました(平成26年12月1日施行)。
ライツ・オファリングとは法人の資金調達手段の一つで、既存投資主(株主)への新投資口(新株)予約権の無償割当てによる増資のことを指します。
投資法人では株式会社と比べ簡素な機関設計となっていることから、これまで資金調達の手段は投資口の増資や借入、投資法人債の発行等に限定されていましたが、特に資産価値の下落局面において、財務バランスの見直し等に柔軟に対応するため資金調達手段の多様化について要望する声が多かったところです。
ライツ・オファリングのメリットとして、投資家は、新投資口予約権の行使による金銭の払い込みで新投資口を取得するか、または新投資口予約権を譲渡することを選択でき、投資法人は、新投資口の発行による既存投資主の権利の希薄化を回避しつつ、エクイティによる資金調達が可能になるという点が挙げられ、投資法人の新たな資金調達手段として活用されることが期待されます。
なお、有償による新投資口予約権の発行は依然として認められていません。

2.新投資口予約権の税務上の取扱い
新投資口予約権は、株式会社における新株予約権に相当するものであることから、税務上も新株予約権と同様に取扱うこととされ、所要の改正(下記3.参照)が行われています。新投資口予約権が割り当てられた投資主の税務は以下のようになります。

(1)新投資口予約権が割り当てられたとき無償割当ての時点において、投資主に課税関係は生じません。これは、ライツ・オファリングによる新投資口予約権の無償割当ては、投資主に対し投資口数に応じて均等に割り当てを行うことから、発行会社からの資産移転や既存投資主間における経済価値の移転が認められないと考えられているためです。
また、無償で取得しているため、新投資口予約権の取得費は零となります。

(2)新投資口予約権の行使による金銭の払い込みで新投資口を取得したとき払込金額と新投資口予約権の取得費(ゼロ)、および取得のために要した費用の合計額が、新投資口の取得費となります。

(3)新投資口予約権を譲渡したとき新投資口予約権の譲渡による収入金額から取得費(零)および譲渡費用等を控除した金額が譲渡所得となり、20.315%(所得税15%、復興所得税0.315%、住民税5%)の税率で課税されます。

3.税法の主要な改正点
金融商品取引法等の改正に伴い、平成26年度税制改正において、所得税(株式等に係る譲渡所得等)に関連する以下のような改正が行われ、同様に租税特別措置法関係通達(37-10-1等)についても所要の改正が行われています(平成26年12月1日施行)。

(1)株式等に係る譲渡所得等の対象とされる株式等の範囲に新投資口予約権を追加(措法37の10(2)一)

(2)株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる金額の範囲に、合併により被合併法人の新投資口予約権に代えて交付を受ける金銭の額を追加(措令25の8(3))

(3)有価証券の評価額の計算の基礎となる取得価額について、金銭の払込みにより取得した有価証券が新投資口予約権の行使により取得したものである場合は、その取得価額にその新投資口予約権の取得価額を含むこととし、当該取得価額を零とする有価証券の範囲に、発行法人に対し新たな払込み又は給付を要しないで取得した当該発行法人の新投資口予約権で一定のものを追加(所令109(1)一・三)

(4)上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法37の12の2)の対象となる金融商品取引業者等への売委託により行う譲渡その他一定の譲渡の範囲に、取得条項付新投資口予約権のその取得条項付新投資口予約権を発行した法人に対する譲渡を追加(措令25の11の2(5))上記のほか、特定口座や非課税口座に受け入れ可能な上場株式等の範囲についても、新株予約権と同様の取扱いとなるよう新投資口予約権の条項が追加されています(措令25の10の2(15)六、十二ロ、十二ハ、措令25の13(10)二、九)。