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証券新聞8/7号『海外勤務者の証券税制』

2014-08-07 (Thu) 17:10
Q1.私は日本の商社に勤務していますが、この度海外の支店に5年間の予定で転勤することが決まりました。私は日本の上場会社の株式を保有しているのですが、今後株価が上昇した際には売却することを考えています。海外転勤した後に日本の上場株式を譲渡した場合には日本での確定申告が必要となるのでしょうか?なお、商社からの給与と、株式の譲渡以外には所得はありません。
20140807
 
A1.ご質問のケースでは、日本での確定申告は原則として不要と考えられます。
日本に住所を有さず、居所も有しない場合には非居住者に該当することになります。1年以上の予定で海外支店などに転勤した場合には、所得税法上は日本国内に住所を有しない者と推定され、非居住者とされます。
非居住者に対する課税方法は、日本国内に恒久的施設を有するか否かで異なり、国内に恒久的施設を有しない非居住者が株式を譲渡したケースでは、次のいずれかに該当するときには国内源泉所得として日本での課税対象となります。なお、恒久的施設とは事業を行う一定の場所等を指します。
(1)内国法人の株券等の買集めをし、これをその内国法人等に対し譲渡することによる所得
(2)内国法人の特殊関係株主等である非居住者が行う、その内国法人の株式等の譲渡による所得
(3)税制適格ストックオプションの権利行使により取得した特定株式等の譲渡による所得
(4)特定の不動産関連法人の株式の譲渡による所得
(5)日本に滞在する間に行う内国法人の株式等の譲渡による所得
(6)日本国内にあるゴルフ場の株式形態のゴルフ会員権の譲渡による所得
ご質問のケースでは、海外勤務中は恒久的施設を有しない非居住者に該当すると考えられ、日本の上場株式の譲渡益は(1)~(6)の所得のいずれにも該当しない場合には、国内源泉所得として日本で課税対象とはならず、日本での確定申告は必要ありません。
なお、(1)~(6)に該当する場合であっても、租税条約により日本で課税されないことがありますので、適用を受ける租税条約を含めた検討が必要です。また日本で課税されない場合であっても、その場合は居住地国で課税される点についても併せてご留意ください。
Q2.私は日本企業(非上場会社)の米国支店に3年間勤務しています。日本で勤務していた時から保有している自社の株式について配当が支払われることになりました。
このような場合、受け取る配当について税務上どのような取扱いになるのでしょうか?
A2.​日本が租税条約を締結した相手国に勤務しており、当該締結国での課税上居住者と認められる場合には、本来配当については20%(復興特別所得税は考慮していない)の税率で源泉徴収されるところ、租税条約に定める軽減税率の適用を受けることができます。日米租税条約における配当にかかる限度税率は次のとおりです。
 親子会社間配当
(持株割合10%以上)
持株割合50%超で一定の要件を満たすもの 免税
上記以外のもの 5%
上記以外の配当 10%
今回のケースでは米国支店に3年間勤務しているということですので、居住者に該当するための要件を満たしている場合には、日米租税条約により配当に対する軽減税率の適用を受けることができます。なお、日米租税条約における配当に対する源泉徴収税率の軽減、免除を受けるのは次に該当する者になります。
イ 米国の法令の下において、住所、居所、市民権その他これらに類する基準により米国において課税を受けるべきものとされる者
ロ 米国の市民又は米国の法令に基づいて米国における永住を適法に認められた外国人である個人で一定の要件を満たす個人
なお、租税条約に基づく軽減税率の適用にあたっては、その支払いを受ける日の前日までに支払者を経由して支払者の所轄税務署長に租税条約に関する届出書等を提出する必要があります。