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証券新聞6/19号「租税特別措置法40条の非課税承認」

2014-06-19 (Thu) 10:33
Q.「租税特別措置法40条の非課税制度」という税制上の優遇措置があると聞きました。なんでも、公益法人などに資産を寄附した場合に税負担が軽減されるとのことですが、正直なところ制度の内容はよく理解できていません。もし私にも利用可能な制度であれば、保有している上場株式を公益法人などに寄附して社会に貢献できればと思っていますので、概要を教えてください。

20140619
 
A.
​(1)個人が法人に含み益のある資産を寄附した場合の原則的取り扱い
個人が法人に対し含み益のある資産(時価が取得費を上回っている資産)を寄附した場合、現実には対価を受領していないものの、時価で譲渡を行ったものとみなし、当該含み益を譲渡所得として課税するのが、原則的な取り扱いとなっています。
 
〈具体例〉以下の資産を寄附した場合
含み益のある資産 上場株式
取得費 1億円
時価 10億円

⇒譲渡所得=10億円-1億円=9億円 所得税等=9億円×20.315%=1億8,284万円
このように、原則的な取り扱いでは、せっかく資産を寄附して社会に役立てようと考えても、過度な税負担から実行に移しにくい状況となっています。
(2)租税特別措置法40条の非課税制度
 前述のような弊害を回避するため、公益法人等に対する寄附であって、その寄附が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与することなど一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたときは、含み益に対する所得税を非課税とする制度が設けられています。
 
(3) 非課税制度の対象となる公益法人等
 非課税制度の対象となる公益法人等は、公益社団法人、公益財団法人、特定一般法人(法人税法に掲げる一定の要件を満たす法人)、その他の公益を目的として事業を行う法人(社会福祉法人、学校法人、更生保護法人、宗教法人、特定非営利活動法人等)です。公益法人しか適用を受けられないと思われている方が多いかもしれませんが、一般財団法人や一般社団法人といった法人形態でも、この制度の適用を受けられる場合があります。
 
(4)国税庁長官の承認を受けるための要件
国税庁長官の承認を受けるためには通常、次の3要件の全てを満たす必要があります。
ⅰ) 寄附が教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すること。
ⅱ) 寄附財産が、その寄附日から2年以内に寄附を受けた法人の公益を目的とする事業の用に直接供されること。
ⅲ) 寄附により寄附した人の所得税の負担を不当に減少させ、又は寄附した人の親族その他これらの人と特別の関係がある人の相続税や贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないこと。
※要件への該当性の判定基準は複雑であるため、別途詳細な検討を要します。
 
(5)非課税制度の利用が考えられるケース
 例えば、次の項目に全て該当しているような場合には、租税特別措置法40条の非課税制度の利用が有用と考えられます。
・多額の資産を所有している
・その中に、多額の含み益がある資産がある
・その資産は、家族に相続させる必要はない
・自分が築いてきた資産を、社会のために役立てたい
このようなケースで非課税制度を利用できれば、寄附者は含み益に対する高額な課税を受けることなく社会貢献を果たせます。また、追加的な効果として、寄附により財産権が失われることにより寄附者の相続財産が減少する結果、相続人の相続税負担を軽減します。
 
(6)活用にあたっての留意点
 租税特別措置法40条の非課税制度は非常にメリットの大きな制度ですが、実行にあたっては詳細な制度理解が必要です。また、場合によっては非課税承認の取り消しといった事態を招く可能性もあります。ご家族や専門家とよく相談し、有用性と潜在的なリスクをきちんと把握したうえで、実行に移すようにしましょう。