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証券新聞『株式譲渡所得、配当所得と社会保険料等の関係』

2014-04-17 (Thu) 17:23
Q.私はA証券とB証券にそれぞれ特定口座(源泉徴収あり)を開設しています。今まで確定申告をしたことはありません。今年はB証券で譲渡損が生じたため、確定申告をしてA証券の譲渡益と通算しようと思っています。全額通算しきれなかった場合、確定申告をすると社会保険料などが上がるという話を聞きましたが、具体的にはどのような影響があるのでしょうか。
20140418


 
A.源泉徴収ありの特定口座の場合、申告不要を選択すればその特定口座内で生じた譲渡益は所得(総所得金額等)には含まれません。しかし、確定申告をした場合には含まれることになります。これにより以下のような影響が生じる可能性があります。そのため還付される税額と下記の影響を比較検討した上で確定申告するか否か判断することをお勧めします。
 
(1)配偶者控除、扶養控除の適用対象外になる。配偶者控除、扶養控除は合計所得金額が38万円以下の場合に適用可能となります。そのため、控除対象の配偶者もしくは扶養親族であった場合には、これらの適用対象から外れる可能性があります。
 
(2)住宅ローン減税の適用除外になる。住宅ローン減税は、適用を受ける年の合計所得金額3,000万円以下の場合に適用可能となります。そのため、譲渡益の金額によっては住宅ローン減税を受けられなくなる可能性があります。
 
(3)国民健康保険、後期高齢者医療保険料が上がる。国民健康保険、後期高齢者医療制度の保険料は、総所得金額等などを基に決定されます。そのため、確定申告することにより所得が増えれば、それに応じて保険料が増える可能性があります。(市区町村によって計算方法は異なる場合があります。)
 
(4)新たに保険料を負担することになる。 専業主婦や年収が130万円未満かつ夫の半分以下のパート主婦の方は、通常夫の扶養家族として健康保険料や年金保険料を別途負担する必要はありません。しかし、年収が130万円以上になると年金の場合は国民年金第1号被保険者として、健康保険の場合は国民健康保険の被保険者として新たに保険料を支払うことになります。株式の譲渡所得や配当が年収に含まれるかについては議論がありますが、実務上は含めて計算している社会保険事務所や年金組合が多いようです。そのため、専業主婦や夫の扶養の範囲内である場合には、新たに保険料負担が生じる可能性があります。
 
(5)医療費の自己負担が上がる。国民健康保険では、総所得金額等により医療費の自己負担割合や上限が異なります。そのため、医療費の自己負担額が増える可能性があります。
 
ただし、全ての人が一律に上記の影響を受けるわけではありません。例えば、世帯主の場合、本人が給与所得者であれば、通常は組合健康保険や協会けんぽなどに加入しているため、(3)、(4)、(5)の影響はありません。また、本人の所得のため(1)の影響もありません。自営業者(世帯主)の場合は、国民健康保険に加入しているため(3)の影響を受ける可能性があります。高齢者の場合には加えて(5)の影響を受ける可能性があります。(2)については給与所得者、自営業者などを問わず合計所得金額が3,000万円を超えれば適用対象外となります。
一方、本人が専業主婦や扶養の範囲で働いているパート主婦の場合、夫が給与所得者であれば(1)、(4)の影響を受ける可能性があり、夫が自営業者であれば(1)、(3)の影響を受ける可能性があります。
 
このように、年齢、職業、世帯構成によって影響を受ける範囲が異なる上、総所得金額等、合計所得金額など税法上の概念も判断要素に絡んできます。そのため、金額が大きいような場合には、検討にあたってお近くの税理士やファイナンシャルプランナー等に相談することをお勧めいたします。