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証券新聞11/21号『生前贈与の方法と留意点』

2013-11-21 (Thu) 18:15
Q.私は30年前に会社を創業し、今もなお100%の株式(非上場)を保有しています。現在、息子に事業を承継すべく、保有株式の生前贈与を検討中です。この場合、取りうる方法及び留意点について教えてください。
20131121

 
A.(1)暦年贈与による方法
贈与税には受贈者1人当たり年間110万円の基礎控除枠があり、これを利用して生前贈与を行う方法が考えられます。特にオーナーがまだ若く引退までの期間が長い場合や、株式評価がそれほど高くない場合などは、毎年株式を少しずつ後継者に贈与して、事業承継を図ることも可能です。なお、後継者が親族等であり、オーナーの推定相続人となるような場合は、相続開始前3年以内に贈与した財産については相続財産に合算して相続税が計算される点に注意が必要です。
 
(2)相続時精算課税による方法
オーナーが65歳以上であり、かつ後継者が20歳以上の推定相続人である子又は代襲相続人である孫の場合、相続時精算課税による贈与が考えられます。この方法によると贈与額2,500万円までは贈与税はかからず、それを超える部分の20%に相当する贈与税をいったん納め、実際にオーナーの相続が発生した際にそれまで贈与した財産を相続財産に加えて相続税を算出し、すでに納めた贈与税を差し引いて相続税の納税を行います。この制度によって贈与された財産は、相続税の計算上、相続財産に加算されますが、その金額は贈与時の時価に基づくことになります。従って、今後確実に株価の上昇が見込まれる場合は、現在の低い株価にて相続財産を確定することができるため、非常に有効であるといえますが、反対に株価が今後値下がりしてしまうような場合は逆効果となります。
ただし、相続時精算課税を選択した以後は、オーナーから後継者への贈与に関して暦年贈与の基礎控除額110万円は控除することが出来ない点について、留意が必要です。
なお、平成25年税制改正により、平成27年1月1日以後の贈与から、相続時精算課税の対象となる贈与者が現行の65歳以上から60歳以上に引き下げられ、また、受贈者についても代襲相続人でない孫が対象の範囲に加えられることになりました。
 
 
(3)贈与税の納税猶予制度による方法
非上場株式等の贈与税の納税猶予制度とは、後継者が贈与により、非上場株式等を親族である先代経営者から全部又は一定以上取得した場合に、総議決権の3分の2までに達する部分の贈与税の全額の納税が猶予され、さらに一定要件を満たすと納税が免除される制度です。この制度によれば、オーナーの有する株式のうち、総議決権の3分の2までは贈与税の課税を受けることなく、後継者に株式の贈与を行うことが可能となります。しかし、当該制度は適用要件が厳しく、また仮に猶予期間に要件を満たさなくなった場合には、納税猶予額に加えて利子税の支払いも必要となること等、リスクも高かったことから、あまり実務での制度利用が進まないのが実情でした。そこで平成25年税制改正では以下のような点について要件が緩和され、平成27年1月1日以降の贈与より適用されることとなりました。また、従前、この制度を利用するためには、経済産業大臣の事前確認を受ける必要がありましたが、平成25年4月以後は事前確認を受けていなくても制度利用が可能となっています。
 
主な項目 現行 平成27年1月1日以降
親族外承継 後継者は先代経営者の親族に限定 親族外承継も対象
雇用8割維持 雇用の8割以上を「5年間毎年」維持 雇用の8割以上を「5年間平均」で評価
納税猶予打ち切りリスク 納税猶予打ち切り時は、納税猶予額に加え、猶予期間すべてにおいて2.1%の利子税の支払い 利子税を0.9%に引き下げ。
承継後5年超経過したら、猶予期間の利子税は免除
免除要件 贈与の5年後以降は、後継者の死亡又は倒産により納税免除 左に加えて、一定の事業再生の際にも、納税猶予額を再計算し、一部免除
役員退任 先代経営者は贈与時に役員を退任する必要 代表権を有さなければよい

(4)まとめ
今回は非上場株式の贈与と言う観点から、3つの方法をご紹介しましたが、場合によっては株式の譲渡による方法や、あるいは生前贈与しない方が、税務上有利な場合もあるかもしれません。いずれの方法が有利かについては各人の財産状況や親族関係、今後の株価の状況や後継者との関係など、様々な状況を分析して、適切な対応策を検討する必要があります。