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証券新聞7/4号『株式保有特定会社の判定基準の改正』

2013-07-04 (Thu) 14:28
Q.私は、父が創業した会社(非上場会社)を承継する予定です。その会社は従業員が100名以上おり、税務上の「大会社」に該当します。また、複数の子会社があります。
ところで、大会社である株式保有特定会社の相続税法上の評価に関して、最近、財産評価基本通達の改正が行われたという記事を読みました。改正に至った経緯と改正内容について、詳しく教えてください。
20130704

 
A.取引相場のない株式の発行会社の中には、資産構成が著しく株式等に偏った会社が見受けらます。このような会社の株式の相続税法上の評価については、一般の評価会社に適用される類似業種比準方式により適正な株価の算定を行うことが難しいと考えられます。そこで財産評価基本通達では、大会社のうち株式保有割合(評価会社の有する各資産の価額の合計額のうちに占める株式等の価額の合計額の割合)が 25%以上の会社については株式保有特定会社とし、原則として純資産価額方式で評価することとしていました。
 
ところが、この通達を覆すような税務訴訟の高裁判決が、平成25年2月28日に出ました。相続税額を過少に申告したとして約50億円もの追徴を行った国税側の処分を取り消す、という納税者勝訴の判決であったため、大いに注目を集めました。裁判の争点は、前述の「25%以上」という株式保有特定会社の判定基準の妥当性についてでした。本事例では、問題となった会社の株式保有割合が25.9%とわずかに基準を上回っていため、通達に基づき画一的に判断するならば、類似業種比準価額の適用はできないと言わざるを得ない状況でした。ところが、判決ではこれが一転、通達が制定された平成2年当時とは会社の株式保有状況も大きく変化しており、株式保有割合25%という数値は、もはや資産構成が著しく株式等に偏っているとまでは評価できないとの判断が示されたのです。
 
当該高裁判決を受けて国税庁は、大会社における株式保有特定会社の判定基準を「25%以上」から「50%以上」に改正する通達について、平成25年4月2日から5月1日まで意見公募期間を設け意見聴取を行い、平成25年5月27日付で通達を改正することを公示しました。
 
確かに、今日ではホールディングス機能を有する上場会社は数多く存在しており、「25%以上」という判定基準が実態とかい離していたことは否めません。とはいえ、それでも通達では「25%以上」と明確に規定されていた訳で、これを正面から否定する判決が出されたことには、驚いた専門家も多かったのではないかと思います。
 
Q.株式保有特定会社の評価に関する通達の改正は、いつから適用されることになるのでしょうか。また、過去に行った相続税等の申告については、どのように取り扱われるのでしょうか。
 
A.改正後の評価通達は、通達が改正された平成25年5月27日以後に相続、遺贈又は贈与(以下「相続等」といいます。)により取得した財産を評価し申告する場合に適用されることとなっています。ただし、本改正は裁判の判決に伴う改正であることから、平成25年5月27日より前に相続等により取得した財産を評価し申告する場合であっても、改正後の評価通達を適用することができるとされています。
 
既に申告書を提出している場合には、遡って改正後の評価通達を適用した結果、過去の相続税等の申告の内容に異動が生じ相続税等が納め過ぎとなっていれば、本改正を知った日の翌日から2月以内であれば、所轄の税務署に更正の請求をすることができます。ただし、法定申告期限等から既に5年(贈与税の場合は6年)を経過している相続税等については、法令上、税額を減額することができませんので、更正の請求をしても税金を還付させることはできません。更正の請求を実行するにあたっては、税理士等の専門家へご相談されることをお勧めします。
 
以上のとおり、本改正は、今後行われる相続税等の申告に影響がでることはもちろんのこと、過去に行われた相続税等の申告にも重大な影響を及ぼす可能性がありますので、近年に相続税の申告をされた方は、念のため確認しておいた方がよいでしょう。また、生前に自社株の相続税のシミュレーションを行っている方などにとっても、改正の影響を分析することは有用かもしれません。