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証券新聞「非上場株に関するみなし配当課税の特例と取得費加算」

2013-06-06 (Thu) 10:41
Q.先日、私の父親が亡くなり遺産を相続しました。私が相続した遺産の中には叔父が経営しているA社(非上場)の株式がありましたが、私自身、叔父とは疎遠であり、また、A社の経営に参画する意思もないことから、当該株式の扱いに困っています。
一方で、相続税の納税資金にも余裕がないことから、当該株式をA社に買い取ってもらおうかと考えておりますが、その際の税務上の留意点について教えてください。
20130606

 

A.
(1)みなし配当と譲渡所得
通常、個人が保有する非上場株式を発行会社に譲渡した際に生じた所得は、譲渡所得と配当所得に分けられます。具体的には、発行会社から株式の対価として交付された金銭等で、発行会社の資本金等のうち当該株式に対応する部分を超えて支払われた部分については、配当所得とみなされて、総合課税(最高税率:所得税40.84%(復興特別所得税含む、以下同じ)、住民税10%、しかし、配当の税額控除が所得税5%、住民税1.4%認められる)の対象となります。それ以外の部分については譲渡所得となり20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の申告分離課税の対象となります。
 
(2)相続又は遺贈により取得した非上場株式を発行会社に譲渡した場合の課税の特例
非上場株式は上場株式と異なり市場がなく換金が難しいため、発行会社に譲渡する以外には相続税の納税資金確保が非常に困難な場合があります。しかし、先述したとおり、発行会社への譲渡はみなし配当となる部分が生じることから、通常の第三者に対する譲渡と比較して特に高額所得者にとっては税負担が重くなる傾向にあります。また、相続した非上場株式を譲渡した場合に、その譲渡益すべてに所得税が課税されると、一つの財産に対して所得税と相続税が両方課されることとなり、過重な税負担ともなります。
このような税負担を軽減し、また、取得した非上場株式の発行会社への譲渡によって納税資金をより確保しやすくするため、相続又は遺贈により非上場株式を取得した場合には、以下のような特例が認められています。
 
(1)譲渡対価の全額を譲渡所得の収入とする特例
相続又は遺贈により非上場株式を取得し、相続の開始があった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に、その相続税の課税対象となった非上場株式を発行会社に譲渡した場合は、発行会社から交付された金銭等はすべて株式の譲渡収入とすることができます。この特例を受ける場合、交付金額はすべて譲渡収入となるため、当該譲渡収入から譲渡した非上場株式の取得費及び譲渡に要した費用を控除して計算した譲渡所得金額はすべて20.315%の申告分離課税の対象となります。
なお、この特例を受けるためには、譲渡する前に当該特例に関する届出書を、発行会社に提出する必要があります。
 
(2)相続税の取得費加算の特例
相続人が相続又は遺贈により取得した非上場株式の取得費は、原則として被相続人の取得費をそのまま引き継ぐ、又は相続人の取得費が不明の場合は売却代金の5%相当額とすることが認められます。
しかし、相続又は遺贈により取得した非上場株式を発行会社に譲渡する際の譲渡所得金額を計算するにあたっては、相続人が課された相続税額のうち、その株式の相続税評価額に対応する部分の金額を取得費に加算することができるという特例があります。
なお、この特例を受けるためには、
I.相続税の申告書の写し(第1表、第11表、第11の2表、第14表、第15表)
II.相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
III.株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書 
のすべてを添付した確定申告書の提出が必要です。
 
(3)平成25年度税制改正
平成25年度税制改正により、譲渡対価の全額を譲渡所得の収入とする特例の適用対象者の範囲が、拡大されることになりました。具体的には、平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により、非上場株式を取得したものと「みなされる」個人についても対象となります。対象となる具体的な範囲については明らかにされていませんが、例えば相続時精算課税制度や、非上場株式等についての贈与税の納税猶予制度を適用している場合などについても、当該特例が適用できる可能性があると考えられます。
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