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平成25年度税制改正大綱(事業承継税制)について

2013-03-07 (Thu) 14:37
Q.私は、自ら創業した会社を、長年共に苦労した従業員に譲ろうと考えております。以前に自社株をどのように承継したらよいか、銀行の担当者に相談したところ、事業承継税制というものがあるが、当社の場合は要件を満たさず適用できないとのことで断念した経緯があります。しかし、今回の平成25年度税制改正により要件が大幅に緩和される予定という新聞記事を読んで、再び興味を持っています。具体的にはどういった点が緩和されるのでしょうか。
20130307

 
 A.
1.事業承継税制とは 非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度とも呼ばれます。後継者が先代経営者から相続、遺贈、または贈与により非上場株式を取得した場合に、議決権総数の3分の2までに達する部分の相続税の80%または贈与税の全額の納税が猶予され、さらに一定要件を満たすと納税が免除される制度です。適用要件を満たす限り、非上場会社の後継者にとっては大変有利な制度であるといえます。
ところが、従来は適用要件が厳しく、制度導入後間もないため実務の積み重ねも乏しいことから、なかなか利用が進まないのが実情でした。

2.平成25年度税制改正による要件緩和
今回の税制改正では、適用要件のいくつかが緩和され、利用しやすくなる予定です。
具体的に緩和された改正点は次のとおりです。
 
主な項目 現行 改正案
親族外承継 後継者は先代経営者の親族に限定 親族外承継も対象
雇用8割維持 雇用の8割以上を「5年間毎年」維持 雇用の8割以上を「5年間平均」で評価
納税猶予打ち切りリスク 納税猶予打ち切り時は、納税猶予額に加え、猶予期間すべてにおいて2.1%の利子税の支払い 利子税を0.9%に引き下げ。
承継後5年超経過したら、猶予期間の利子税は免除
役員退任 先代経営者は贈与時に役員を退任する必要 代表権を有さなければよい
事前確認制度 制度利用前に経済産業大臣の「事前確認」を受ける必要 「事前確認」制度は廃止
上記の他、逆に要件が厳しくなり適正化がなされたものもありますが、ここでは割愛します。

3.制度利用にあたっての留意点  御社の場合、以前検討した際には適用できなかった親族外への承継についても、今回の改正により対象範囲とされたため適用可能性が出てきました。今回の税制改正は平成27年1月1日以後の相続・贈与より適用開始となります。
ところで、2月27日から経済産業省より公表されているパブリックコメントによると、事前確認制度の廃止については、平成25年4月1日以後より前倒しで適用となる見込みです。
 この改正により、他の要件は満たしているのに相続前に事前確認をしていないことのみを理由に本制度の適用ができなくなるという不合理が、本年4月から解消されます。
しかし、要件を満たさないまま相続が発生した場合には本制度の適用はできませんので、要件を満たしているか否かの確認と満たしていない場合の対策を、事前に行っておく必要があることに変わりありません。
 例えば、従業員持株会や取引先に株式が分散しており、先代経営者一族の議決権保有割合が50%以下であったり、筆頭株主が資産管理会社であったり、後継者が役員の要件を満たしていなかったり、実際に確認してみると発覚する要件違反が散見されます。
 役所への手続きは廃止されますが、その分要件充足のための自己責任は増しています。不安な場合には税理士等の専門家にご相談することをお奨め致します。