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証券新聞8/2号『株式保有特定会社の株式等の範囲』

2012-08-02 (Thu) 10:24
Q.私の父は、X社の株式を保有し、経営しています。X社は自社で事業を営みつつ、事業が順調であるため多種多様な証券を資産運用のため保有しています。
事業が順調であることは喜ばしいことですが、一方で、父が亡くなった時の相続税が気がかりです。
最近、株式を保有する割合が高い非上場株式会社では相続税が高額になる場合があると聞きました。これはどのようなことでしょうか。また、株式の範囲にはどのようなものが含まれるのでしょうか。特に、上場不動産REITの割合が高いのですが、影響はあるのでしょうか。
20120802


A.
1.株式保有特定会社について
 お聞きになったのは、株式保有特定会社のことと思われます。会社の資産構成が著しく株式等に偏っている会社は、その保有する株式及び出資(以下、株式等)の価値に依存する割合が高いと考えられ、一般の評価会社に適用される類似業種比準方式とは異なる方法での評価となる場合があります。
すなわち、各資産を相続税評価額ベースで評価した結果、次のように算出した合計額に占める株式等の価額の合計額が一定割合以上であれば株式保有特定会社とし、そうではない一般の会社とは区別します。


株式等の保有割合= (1)株式等の価額
(1)株式等の価額 + (2)株式等以外の財産の価額
 
一定割合とは財産評価基本通達上の大会社の場合は25%、中会社及び小会社の場合は50%です。財産評価基本通達上どの規模の会社に分類されるかは、業種、従業員数、総資産価額、および直前期末以前1年間における取引金額で決定します。
X社が株式保有特定会社に該当する場合には、次の方法により評価することになります。
 つまり、株式保有特定会社で同族株主が株式を取得する場合、開業後3年未満や休業中などの特殊な要因がない限りは、(1)純資産価額方式での評価、(2)いわゆる「S1+S2」方式での評価の2通りの評価方法のいずれか低い方で評価します。
 純資産価額方式とは、会社が保有する各資産、負債を財産評価基本通達に基づき課税時期における評価額により評価する方法です。
 「S1+S2」方式とは、株式保有特定会社の資産のうち株式等以外の資産をS1、株式等の資産をS2に分けて評価する方法です。
S1の部分は、株式保有特定会社が有する株式等と当該株式等に係る受取配当収入がなかったとした場合の株式の原則的評価方法による評価額により算定します。すなわち、当該会社が有する資産のうち株式等以外の部分については、株式保有特定会社ではない普通の非上場会社の場合と同様の評価がなされることになります。
S2の部分は、先ほどの純資産価額方式による算定となります。
通常の大会社の評価方法である類似業種比準方式より、株式保有特定会社の上記2つの評価方法の方が評価額が高くなる場合があります。
そのため、株式保有特定会社に該当するとその株式の評価額が高くなり、相続税が高額になる可能性があるものと考えられます。
 
2.株式保有特定会社の判定の基礎となる株式等の範囲
 株式保有特定会社に該当するか否かの判定の基礎となる株式等とは、所有目的又は所有期間のいかんに関わらず評価会社が有する株式(株式会社の社員たる地位)のすべて及び評価会社の法人に対する出資(法人の社員たる地位)のすべてをいいます。
具体的には、次のものは株式等に該当します。
(1)証券会社が保有する商品としての株式
 商品であっても、株式会社の社員たる地位を取得することに変わりはないためです。
(2)外国株式
 外国株式であっても、外国法人の社員たる地位を取得することに変わりはないためです。
(3)株式制のゴルフ会員権
 ゴルフ場経営法人等の株主であることを前提としているものであるためです。
なお、次のものは株式等に該当しません。
(1)匿名組合の出資
 「匿名組合」とは、商法における匿名組合契約に基づくもので「共同出資による企業形態」の一種であり、出資者(匿名組合員)が営業者の営業に対して出資を行い、営業者はその営業から生ずる利益を匿名組合員に分配することを要素とするものです。匿名組合員の有する権利は、利益分配請求権と契約終了時における出資金返還請求権が一体となった匿名組合契約に基づく債権的権利ということになり、株式等には該当しません。
(2)証券投資信託の受益証券
 出資者は、運用収益の受益者の立場に止まりますので、証券投資信託の受益証券(ETF等の上場投資信託を含む)は、株式等には該当しません。
(3)自己株式
 その自己株式の価値は評価会社の自己株式以外の資産の価値に帰属すると考えられるため、自己株式を除いたところで判定することとしています。
 
3.不動産REITについて
不動産REITには、投資法人型と投資信託型がありますが、日本で上場しているものは、ほとんどが投資法人型とのことです。投資法人型のREITは、株式と同様の性質をもつため、株式保有特定会社の判定の基礎となる株式等に該当するものと考えられます。