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証券新聞7/20号『配当優先無議決権株式の評価』

2012-07-20 (Fri) 10:19
私の父はX社(非上場会社)の創業者であり、X社の経営に尽力してきましたが、最近は事業承継について検討を進めています。父は、私の兄を後継者と考えていて、X社の経営も徐々に兄の方に移管しています。X社の株式は父が全株保有しており、相続が発生した場合には、私と兄とでその株式を相続する予定です。当該株式については、一部を配当優先の無議決権株式に変更し、父が亡くなった際にはその無議決権株式を私が相続し、通常の議決権のある株式は兄が相続する予定です。私が相続する予定のこの無議決権株式はどのように評価するのでしょうか。通常の非上場株式の評価と異なるのでしょうか。なお、私はX社の経営には関与するつもりはありません。
20120720


平成18年に施行された会社法により、多種多様な種類株式の発行が認められることとなり、種類株式は中小企業の事業承継においても大いに活用されています。ご質問にあります配当優先の無議決権株式はその種類株式の一種であり、後継者以外への資産承継に利用することで、後継者が議決権を保持し経営権の安定を図ることが可能となります。
その評価については、配当優先の株式と無議決権株式に区分して考える必要があります。なお、本稿では原則的評価方式が適用される同族株主等が相続等により取得することを前提としています。
(1)配当優先の株式の評価
配当について優先・劣後のある株式を発行している場合、類似業種比準方式では、株式の種類ごとに、その株式に係る配当金によって評価します。
類似業種比準方式は、上場会社における類似業種の株価、1株当たりの「配当金額」「利益金額」「純資産価額」(以下、「3要素」といいます。)を基として、評価会社の1株当たりの3要素を比準要素として、株価を算出する方法です(会社規模等により一定の調整が入ります。)。
配当優先の株式の評価の場合、比準要素とした3要素のうち、評価会社の「配当金額」について、当該配当優先の株式に係る配当金額によって計算します。配当優先株式と普通株式を発行している場合には、この配当金額のみが異なり、それ以外の計算要素は変わりません。したがって、通常、配当優先株式の方が計算要素のうちの「配当金額」が高くなることが想定され、それにより評価額が高く算出されることにつながります。
なお、純資産価額方式による評価の場合には、配当金の多寡は評価の要素とはならないため、通常の非上場株式と同様に評価します。
(2)無議決権株式の評価
無議決権株式を発行している場合、その会社の株式は原則として議決権の有無は考慮せずに評価します。つまり、議決権がある株式も無議決権株式も同じ評価額となります。
一方で、議決権の有無により、株式としての価値に差が生じるという考え方もあることを考慮し、次の全ての条件を満たす場合に限り、無議決権株式については、(1)又は原則的評価方式により評価した価額から、その価額に5%を乗じて計算した金額を控除した金額により評価し、その控除した金額をその相続等により同族株主が取得した議決権のある株式の価額に加算して申告することを選択することもできます。
(1)評価会社の株式について、相続税の法定申告期限までに、遺産分割協議が確定していること。
(2)その相続等により、評価会社の株式を取得した全ての同族株主から、相続税の法定申告期限までに、「無議決権株式の評価の取扱いに係る選択届出書」が所轄税務署長に提出されていること。
(3)その相続税の申告にあたり、評価明細書に当該方式による評価額の算定根拠を適宜の様式に記載し、添付していること。

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