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証券新聞6/21号『連帯納付義務』

2012-06-21 (Thu) 09:53
Q.私は父親を亡くし、先日自身の分の相続税を納付したところです。ところが、万が一他の相続人が相続税を納税しない場合、相続人同士でその支払えない相続税を肩代わりしなければならない可能性があると聞きました。その制度の内容について教えてください。
20120621


A.相続税の納付については、原則として、相続又は遺贈により財産を取得した者がそれぞれの納付義務を負っています。しかしながら、遺産を分割するかしないか、又はどのように分割するかについては、その一切を相続人らに委ねられていることなどから、相続税法では、負担の公平や相続税債権確保の見地から、共同相続人相互間など一定の者間において、互いに連帯納付義務を負うこととしています。また、平成24年度税制改正で一部緩和されていますので、こちらについてもご説明します。

[1]連帯納付義務とは
 相続税に関する連帯納付義務は、次の3つの態様に区分されます。

(1)相続人相互間の連帯納付義務
 同一の被相続人から相続又は遺贈(相続時精算課税の適用を受ける財産も含みます)により財産を取得した全ての者は、その相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について、当該相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付の義務を負います。つまり、相続により財産を取得した各相続人のうち、1人でも相続税を納付しない場合は、他の相続人が相互にその相続人が取得した財産の価額を限度として、納付されていない相続税の納付義務を負うこととなります。

(2)被相続人等の相続税等の連帯納付義務
 被相続人が相続税又は贈与税について未納のまま死亡した場合、その被相続人の未納の相続税又は贈与税について、被相続人の相続人はその被相続人からの相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付の義務を負います。つまり、被相続人において、相続税又は贈与税で納付されていないものがある場合は、その被相続人の相続人が、その相続人が取得した財産の価額を限度として納付されていない相続税・贈与税の納付義務を負うこととなります。

(3)贈与等があった場合の連帯納付義務
 相続税又は贈与税の基礎となった財産が、贈与、遺贈又は寄付行為により移転があった場合には、その贈与若しくは遺贈によって財産をもらった者又はその寄付行為によって設立された法人は、その贈与などをした者が納めるべき相続税のうち、取得した財産の価額に対応する部分の金額について、その受けた利益の価額に当たる金額を限度として、連帯納付の義務を負います。つまり、相続又は贈与により取得した財産について、さらに贈与等により取得した者等は、その贈与者において相続税又は贈与税を納付されていないものがある場合は、その受贈者等がその受けた利益の価額を限度として、その納付されていない相続税・贈与税の納付義務を負うこととなります。

[2]連帯納付義務者への通知等(平成23年度税制改正)
 連帯納付義務が発生している場合は、次の通知が税務署からなされることとなりました。
 (1)相続税の連帯納付義務がある旨の通知
 (2)本来の納税義務者に対し相続税の督促状を発した場合の連帯納付義務者への通知
 (3)連帯納付義務者から徴収しようとする場合の納付通知
 (4)連帯納付義務者に対する督促

[3]連帯納付義務の一部緩和(平成24年度税制改正)
 相続税の連帯納付義務について、次の場合には連帯納付義務が解除されることとなりました。
(1)申告期限等から5年を経過した場合(但し5年経過時点で連帯納付義務の履行を求めているものを除く)
(2)納税義務者が延納又は納税猶予の適用を受けた場合
こちらの改正は、平成24年4月1日以降に申告期限等が到来する相続税及び平成24年4月1日に滞納となっている相続税について適用されます。

 一部緩和されたとはいえ、連帯納付義務が思わぬところで発生する可能性があることには変わりありません。自身の納付だけでなく、他の相続人の納付状況にも留意する必要があります。