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国外財産調書制度と修正申告、更正の請求、外国税額控除について

2012-04-19 (Thu) 10:09
Q.私は数年前からリスク分散のために日本国外への投資を進めています。ただ、海外の税制がよく分からないため国外へ投資した資産については利益が生じても日本で申告はしていませんでした。
しかし最近、友人から国外財産への課税強化がされる、違反すると懲役刑もあり得るとの話を聞きとても不安です。友人の話は本当なのでしょうか。また、今まで申告していなかった海外財産については、どのような対応をすればよいでしょうか。
20120419


A.ご友人は『国外財産調書制度』のことについて話されているのだと思います。これは平成24年3月30日に成立した平成24年度税制改正法に盛り込まれています。国際課税について、国際的租税回避を防止して日本の適切な課税権を確保すると同時に投資交流の促進等により日本の経済を活性化するという基本的考え方のもと設けられました。
(1)国外財産調書制度
その年の12月31日において5千万円超の国外財産を有する居住者は、当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書を、翌年3月15日までに税務署に提出することとなります。国財財産調書の不提出・虚偽記載に対する罰則として、法定刑は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

さらに国外財産から生じる利子・配当、国外財産の貸付け・譲渡による所得、その他国外財産に起因して生じた所得に係る所得税の申告漏れ等がある場合において、その年の国外財産調書の提出がないとき又は記載がないときは、過少申告加算税等については、当該部分につき通常課される税額に当該申告漏れ等に係る所得税の5%相当額を加算金額として納めなければいけません。

このように、懲役や罰金、加算金と様々な罰則が規定されているため、納税者にとって不利な改正のように思われるかもしれませんが、適切に報告することで納税者にもメリットがあります。それは、国外財産に関する申告漏れ等がある場合でも、提出された国外財産調書に申告漏れ等に係る国外財産の記載があるときは、過少申告加算税等については、当該部分につき通常課される税額から当該申告漏れ等に係る所得税又は相続税の5%相当額を控除することができるというメリットです。

なお、記載する財産の評価については、原則として時価としますが、見積価額とすることもできます。この改正は、平成26年1月1日以後の提出分から適用となります。

(2)過去の申告の対応について
納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合は、修正申告が必要となります。修正申告について期限は特段規定されていません(なお、課税庁の更正、決定の期間制限は5年間になりました)。一方で、納める税金が多過ぎた場合や還付される税金が少な過ぎた場合には更正の請求の手続をとります。更正の請求ができる期間は、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する所得税については、法定申告期限から1年、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税については、法定申告期限から5年となっています。なお、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来する国税については、増額更正ができる期間内(所得税は3年間)は、「更正の届出書」を提出することができます。

(3)外国税額控除の申告に係る改正について
また、外国財産に係る税金に関し、平成23年度税制改正において外国税額控除の当初申告要件と適用額の制限が廃止されました。
当初申告要件とは、確定申告書等に、その制度の適用を受ける金額など一定の事項を記載した場合または一定の書類を提出した場合に限り適用を受けることができる制度です。つまり、今までは外国税額控除の適用漏れに気が付いても訂正できなかったものが、更正の請求等により取り戻すことが可能になりました。

次に適用額の制限ですが、これはその制度の適用を受ける金額は、確定申告書等に記載された金額が限度となるというものです。つまり、確定申告書等を提出した後で計算誤り等に気付いても金額を訂正できなかったものが、更正の請求等により金額を訂正することができるようになりました。これらは平成23年度の確定申告から適用できます。


最後になりますが、国外財産として報告する以上、取得の経緯や当該財産から生じる所得などに課税当局が興味を持つに至ることは容易に想像できると思います。これを機に一度ご自分の財産のたな卸と整理を検討してみるのはいかがでしょうか。

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