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証券新聞4/5号『みなし譲渡損失の特例』

2012-04-05 (Thu) 10:25
Q.私は、証券会社の特定口座にて上場会社A社の株式を保有していましたが、A社は資金繰りの悪化等により、会社更生法に基づく更生手続開始の決定を受け、間もなく上場廃止となる予定です。上場廃止となるとA社株式は実質的に価値がなくなるのではないかと思いますが、この場合の損失については、税務上どのような取扱いとなるか教えてください。
20120405


A.発行会社の倒産等により、保有している株式の価値が消滅した場合でも、譲渡等をしない限りは原則として損失の計上はできません。ただし、一定の株式については、譲渡等をしない場合でも譲渡により生じた損失とみなすことができる場合があります。

1.みなし譲渡損失の特例
一定の要件を満たす株式(以下、「特定管理株式等」といいます。)について、一定の事由が発生し、その株式が価値を失った場合には、その損失の金額は譲渡損失とみなして、他の株式等の譲渡所得等の計算上控除することができます。この特例を、一般的に「みなし譲渡損失の特例」と呼んでいます。

(1)特定管理株式等
特定管理株式等とは、次の要件を満たすものをいいます。
(1)上場株式等に該当しないこととなった特定口座内保管上場株式等であること
(2)その該当しないこととなった日以後引き続きその特定口座内保管上場株式等に係る特定口座の開設されている金融商品取引業者等に開設される特定管理口座において保管の委託等がされている株式であること
(3)内国法人の株式であること

(2)特例の対象となる要件
この特例の対象となるのは、特定管理株式等について次の事由が発生したことにより、株式が無価値化した場合です。
(1)発行会社が解散(合併による解散を除く。)をし、その清算が結了したこと
(2)発行会社が破産法の規定による破産手続開始の決定を受けたこと
(3)発行会社がその発行済株式の全部を無償で消滅させることを定めた会社更正法の規定による更正計画につき更正計画認可の決定を受け、その更正計画に基づき発行済株式の全部を無償で消滅させたこと
(4)発行会社がその発行済株式の全部を無償で消滅させることを定めた民事再生法の規定による再生計画につき再生計画認可の決定を受け、その再生計画に基づき発行済株式の全部を無償で消滅させたこと
(5)発行会社が預金保険法の規定による特別危機管理開始決定を受けたこと
なお、ご質問の場合、要件(3)に該当しているかを確認することとなりますが、A社は会社更正法の更正手続開始の決定を受けた段階であるので、現状ではA社の株式について要件(3)は充足していない状況です。したがって、A社の更正手続の進捗を今後も注視していく必要があり、いずれかの要件が充足したことをもって特例の適用を受けることができます。ただし、その譲渡損失の金額については、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例を受けることは出来ないことにご留意ください。

2.みなし譲渡損失の金額の計算
譲渡損失とみなされる金額は、特定管理株式の1株あたりの取得価額に一定の事由発生直前の特定管理株式の数を乗じた金額となります。なお、特定管理株式の1株あたりの取得価額は譲渡時ごと総平均法により計算した金額によりますので、複数回にわたって株式を取得した場合にはご留意ください。

3.適用を受けるための手続
この特例の適用を受けようとする場合には、特定口座を開設している金融商品取引業者等に対し、上場株式等に該当しないこととなった特定口座内保管上場株式等を最初に特定管理口座に受け入れる時までに、特定管理口座開設届出書を提出する必要があります。また、一定の事由が発生した年に係る確定申告書に、この特例の適用を受けようとする旨を記載するとともに、特定管理口座を開設している金融商品取引業者から交付を受けた証明書及び株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書の添付をすることが必要です。