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証券新聞2/2号『エンジェル税制について』

2012-02-02 (Thu) 09:29
Q.私は、知人が起業したベンチャー企業に対して投資を考えています。そのような折、
個人投資家によるベンチャー企業への投資についてはエンジェル税制という税務上の
優遇措置があると聞きました。どのような制度か教えてください。
20120202


A.
1.概要

エンジェル税制とは、一定の要件を満たした企業に対して個人が投資を行った場合に、
投資時点と売却時点において税制上の優遇措置を受けることができる制度です。
個人投資家(エンジェル)からベンチャー企業への投資の促進を狙いとして平成9年に導入されました。

2.優遇措置
(1)投資時点

  内容 上限
(対象企業への投資額-2,000円)をその年の総所得金額から控除 総所得金額の40%と1,000万円の低い方
対象企業への投資額全額をその年の他の株式譲渡益から控除 なし
制度創設当初は優遇措置Bのみであったために、株式投資をしていて売却益が出ている人でなければ
メリットがあまりありませんでしたが、平成20年度税制改正によって優遇措置Aが追加され、
メリットを享受できる対象者が広がりました。
一般的に、給与などの所得が多い人はAの方が、給与などの所得は少ないが株式の売却益が多い人は
Bの方が有利となります。

(2)売却時点(損失発生時)
対象企業の株式の売却によって生じた損失は、他の株式譲渡益と通算できるだけでなく、
通算しきれなかった損失は翌年以降3年間繰り越すことができます。
さらに、対象企業が上場しないまま破産、解散等して株式が無価値となった場合でも
売却時と同様に損失の通算・繰越ができます。
エンジェル税制の対象でない未上場株式への投資では、損失の繰越はできず、
無価値となった場合の損失もないものとされていますので、エンジェル税制では投資が
失敗に終わった場合の救済措置が設けられているといえます。

3.要件
エンジェル税制の優遇措置を受けるためには、投資をする側の個人投資家要件と
投資を受け入れる側のベンチャー企業要件を満たす必要があります。
投資を受けた企業は経済産業省に、各要件を満たしてエンジェル税制の
対象となる投資であることを確認し、経済産業大臣より確認書の交付を受けます。
個人投資家は、その確認書を利用して確定申告を行います。
まず、個人投資家要件は、優遇措置A、Bとも、以下のとおりです。
(1) 金銭の払込により、対象となる企業の株式を取得していること
(他の株主から譲り受けた株式や現物出資により取得した株式は対象外となる。)
(2) 投資先企業が同族会社である場合には、所有割合が大きいものから第3位までの
株主グループの所有割合を順に加算し、その割合が初めて50%超になる時における
株主グループに属していないこと

次に、ベンチャー企業要件ですが、投資した年の減税措置(優遇措置AまたはB)毎に
要件が異なります。
優遇措置Aは創業(設立)3年未満の中小企業者を対象とし、優遇措置Bは同10年未満の
中小企業者を対象としています。その他、研究者・新規事業活動従事者や試験研究費等の
収入金額に占める割合など、設立経過年数別、優遇措置別に要件が定められています。
なお、売却時点の優遇措置は、優遇措置A・Bの要件のいずれかを満たせば適用されます。
 
企業は、自社がエンジェル税制の対象となるかどうか事前確認を受けることができ、
経済産業省のホームページにおいてエンジェル税制の適用企業であることを
公表している会社も多くあります。どのような会社が適用の対象となっているのか、
見てみるのもよいかと思います。