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証券新聞1/10号H24年度税制改正大綱(国際課税)について

2012-01-10 (Tue) 18:22
Q.私は、米国企業の日本法人で役員として勤めており、米国本社から付与されたストックオプションの利益を、米国の銀行に預けたまま数年間放置しています。ストックオプションの利益については確定申告していますが、預金の利子については、国内預金と同じ感覚で何もしていません。最近発表された税制改正で国外財産への課税強化がなされるとの新聞記事を目にし気になっています。いったいどのようになるのでしょうか?また、私の米国での預金利子については、確定申告は不要でしょうか?
20110110

A.平成23年12月10日に、平成24年度税制改正大綱が発表されました。その中で、国際課税については、国際的租税回避を防止して日本の適切な課税権を確保すると同時に投資交流の促進等により日本の経済を活性化するという基本的考え方のもと、主に以下のような適切な課税及び徴収のための措置等が設けられました。なお、今後修正等が入る可能性がありますので、その点はご了承ください。

(1)国外財産調書制度の創設(個人)
 その年の12月31日において5千万円超の国外財産を有する居住者は、当該財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書を、翌年3月15日までに税務署に提出することとなります。記載する財産の評価については、原則として時価としますが、見積価額とすることもできます。この改正は、平成26年1月1日以後の提出分から適用となります。
 なお、以下の様な過少申告加算税等の特例があります。
(イ)国外財産に関する申告漏れ等がある場合、提出された国外財産調書に申告漏れ等に係る国外財産の記載があるときは、過少申告加算税等については、当該部分につき通常課される税額から当該申告漏れ等に係る所得税又は相続税の5%相当額を控除した金額とします。
(ロ)国外財産から生じる利子・配当、国外財産の貸付け・譲渡による所得、その他国外財産に起因して生じた所得に係る所得税の申告漏れ等がある場合において、その年分の国外財産調書の提出がないとき又は記載がないときは、過少申告加算税等については、当該部分につき通常課される税額に当該申告漏れ等に係る所得税の5%相当額を加算金額とします。
 その他、国財財産調書の不提出・虚偽記載に対する罰則として、法定刑は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金として、併せて、情状免除規定が設けられています。

(2)関連者間の利子を利用した租税回避への対応(法人)
 法人の関連者に対する純支払利子等の額が、調整所得金額の50%を超える部分の金額は、損金の額に算入しません。調整所得金額とは、所得金額に、関連者純支払利子等、減価償却費等及び受取配当等益金不算入額等を加味し、特別損益の加減算等の調整を行った金額をさします。この改正は、平成25年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
 なお、当該規定は以下の場合には適用されません。
(イ)関連者純支払利子等が一千万円以下
(ロ)関連者支払利子等の合計額が純支払利子等の額(支払を受ける関連者において法人税の課税所得に算入されるもの等は含まれない)の50%以下
その他、以下の様な留意点があります。
・連結納税制度でも、一定の調整の上で適用
・過少資本税制と併せて適用となる場合、損金不算入額のうちいずれか多い金額を損金不算入額となる
・外国子会社合算課税と併せて適用となる場合、本制度による損金不算入額に一定の調整をして適用

(3)外国親会社から付与されたストックオプション等に関する調書(法人)
外国法人の日本子会社や日本支店の役員もしくは従業員である居住者が、当該外国法人から付与された株式等を取得する権利行使等をした場合には、日本子会社等が税務署に調書を提出することとなります。調書は行使等の日の翌年3月31日までに提出する必要があります。この制度は平成25年1月1日以後に提出すべき調書について適用されます。
以上の通り、国外財産に係る課税及び徴収が強化されます。
また、米国での預金利子は従来でも日本で確定申告するべきでしたが、これまで問題とならなかったのは日本の課税当局が国外財産まで把握できていないという実情が背景にあったものと思います。しかし前述の通り、今後は日本の課税当局も国外財産に係る課税及び徴収の強化に乗り出しています。また、所得税についてさらなる増税も見込まれています。今回の改正をきっかけに、特に積極的に運用をしていない、利子について総合課税される米国預金は、20%の源泉徴収で済む国内のドル預金等に振替えることを検討されてはいかがでしょうか。
なお、申告漏れとなっている米国預金利子については、自ら修正申告した場合には、過少申告加算税が課されない場合があります。税務専門家にご相談されることをお勧めします。

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