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証券新聞10/7号『上場株式の贈与』

2011-10-07 (Fri) 11:23
Q.私は現在多数の上場株式を保有しています。最近健康に不安があることから、相続税対策の一環として子供たちにこれらの株式の一部を贈与したいと考えています。また、子供たちには資力がないことから贈与税相当分の現金も贈与しようと思います。そこで、上場株式を贈与する場合の贈与税額はどのように計算されるのかを教えてください。また、贈与するときに注意する点を教えてください。
20111007


A.平成23年度中の贈与税額は、贈与した財産の価額に110万円の基礎控除を引いた金額に次の速算表の税率を乗じて計算します。例えば、400万円の贈与をした場合の贈与税額は(400万円-110万円)×15%-10万円=33.5万円となります。
計算式



速算表を見ていただければわかるとおり、贈与税は贈与する財産が高額になるほど税率が高くなる累進税率です。したがって、少ない金額で複数回にわたり贈与をした方が納める税額は少なく抑えられます。

贈与税速算表 次に、贈与した財産の価額ですが、贈与財産が上場株式の場合は、次の4つの方法から最も低い価額で評価します。なお、2以上の金融商品取引所に上場されている場合、納税義務者が選択した金融商品取引所が公表する価額によって評価することができます。 




上場株式の相続財産評価
(1)課税時期の最終価格
(2)課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額
(3)課税時期の属する前月の毎日の最終価格の月平均額
(4)課税時期の属する前々月の毎日の最終価格の月平均額 

なお、贈与税相当額の現金を贈与する場合には、その現金にも贈与税が発生しますのでこの点も十分に考慮して贈与する額を決定してください。

では、上場株式を贈与する場合に、どのような銘柄を贈与すればよいのでしょうか。
前述のとおり、上場株式は前々月の株価を用いることができますので、ここ2,3カ月で急上昇した株式を贈与することで、贈与時点の株価より低い価格での贈与ができます。

その他の選択方針としては、配当利回りの高い株式を贈与するという方法もあります。配当利回りの高い株式を贈与することで、本来自分の相続財産の一部になるはずだった配当収入を、事前に子供に引継がせることができます。この結果、相続財産の増加を防止でき、さらに子供にとっても、将来の相続税の納税資金の確保にも役立ちます。

注意すべき点としては、相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産がある場合は、贈与された財産を相続財産にプラスして相続税額を計算するという制度があります。つまり、贈与した人が3年以内に亡くなった場合、その贈与した財産は、他の相続財産と合わせて相続税額を計算するため、相続税対策としては効果はあまりありません。ただし、贈与時に贈与税を払っていれば、相続税から控除できます。したがって、相続税対策として贈与を検討する場合には、3年間という期間に重複しないようにできるだけ早めに計画を立て贈与していくことが望まれます。

今回は上場株式の暦年贈与に焦点を当てましたが、実際の相続税対策はご自分の保有財産の金額や種類、対策できる期間等を考慮して総合的に検討する必要があります。現時点で保留中の2011年税制改正案が実現してしまうと、相続税の課税対象がさらに広がりますので、「自分には関係ない」とは思わずに、一度税理士などの専門家にご相談してみてはいかがでしょうか。