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証券新聞8/18号『大口株主等の要件の見直し』

2011-08-18 (Thu) 09:57
Q.私は上場企業X社の創業者であり、また株主でもあるのですが、ここ最近の株価水準を考慮して、時価が低い今のうちに子供へX社株式を贈与しようかと考えています。そこで相談なのですが、私は従前の税制についてはある程度理解しているものの、一部可決した平成23年度税制改正法案が及ぼす影響については、正直なところあまりよく理解していません。当該改正が、前述の贈与にどういった点で影響するかについて、教えてください。
X社の株主構成
 私 3,200株 8%
 長男 400株 1%
 次男 0株 0%
 その他の外部株主合計 36,400株 91%
  計 40,000株 100%
 (次回配当予想) 1株当たり5万円

20110818


A.贈与税については改正の影響はありませんが、大口株主等の要件の見直しに関する改正が、配当所得にかかる税負担に影響を及ぼすと考えられます。

平成23年税制改正により、上場株式等からの配当所得について総合課税の対象となる大口株主等の持株比率要件が、従前の5%以上から3%以上に引下げられました(措法8条の4)。これにより、持株割合が3%以上5%未満の個人株主においては、従前の制度では配当所得について10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率が適用されていたところ、改正後は総合課税(配当控除考慮前最高税率50%)が適用されることとなりました。この改正は、平成23年10月1日以降に支払いを受ける配当等について適用されます。

つまり、ご質問のケースで考えますと、あなた、長男および次男いずれかの贈与後の株式保有割合が、3%以上5%未満となる場合には、改正の影響が表れてくることになります。数値を交えながらの方が分かり易いと思いますので、
具体的な設例をもとに説明します(便宜上、最高税率50%が適用され、配当控除は考慮しないものとします)。

(1)あなたが保有する株式の半分を、長男と次男へそれぞれ贈与する場合
贈与後の保有割合はあなたが4%、長男が3%、次男が2%となりますので、配当所得にかかる税負担は以下のようになります。
  改正前 改正後
あなた 5万円×1,600株×10%=800万円 5万円×1,600株×50%=4,000万円
長男 5万円×1,200株×10%=600万円 5万円×1,200株×50%=3,000万円
次男 5万円×800株×10%=400万円 5万円×800株×10%=400万円
1,800万円 7,400万円
次男については改正前後とも大口株主等に該当しないため相違はありませんが、あなたと長男は改正後には大口株主等に該当するため、税負担が大幅に増加します。

(2)あなた、長男および次男が同数を保有するように贈与した場合
贈与後の保有割合はあなた、長男および次男いずれも3%ずつとなりますので、配当所得にかかる税負担は以下のようになります。
  改正前 改正後
全員 5万円×1,200株×10%=600万円 5万円×1,200株×50%=3,000万円
1,800万円 9,000万円
3名とも改正前は大口株主等に該当しませんでしたが、改正後は全員が大口株主等となるため、税負担が大幅に増加します。
なお、税法上の話ではありませんが、あなたは金融商品取引法上の大量保有者に該当しているため、(1)(2)いずれのケースでも贈与時には変更報告書の提出が必要となる点に留意が必要です(株券等の大量保有の状況の開示に関する内閣府令第8条)。
検討にあたっては、顧問税理士や会計士等の専門家にご相談ください。