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証券新聞6/2号 『米国移住時の配当所得』

2011-06-02 (Thu) 11:36
Q.私は米国永住権(グリーンカード)を取得した上で、米国に移住することを検討しています。その際の生活費の一部に元勤務先の日本上場株式の配当金を充てようと思っています。米国に移住した場合においても日本で課税されるのでしょうか。教えてください。
20110602


A.日本の税法では、居住形態により個人の課税対象が決定されることになります。
所得税法上、個人は「居住者」と「非居住者」に、「居住者」についてはさらに「永住者」と「非永住者」とに区分されます。
ここで、「居住者」とは、国内に住所を有し、または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人をいいます。
「非永住者」とは、居住者のうち日本国籍を有しておらず、かつ過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人をいい、「永住者」とは、居住者のうち非永住者以外の個人をいいます。
「非居住者」とは、居住者以外の個人をいい、具体的には、現在まで日本に1年以上居所を有しない個人をいいます。
なお、「住所」とは、「個人の生活の拠点」をいい、「生活の拠点」かどうかは客観的事実によって判定されます。そのため、職務内容や契約等に基づき住所の推定が行われます。また、「居所」とは、その人の生活の拠点ではないが、その人が実際に居住している場所とされています。
次に、区分毎の日本での課税対象となる所得の範囲についてですが、永住者は全世界所得、非永住者は日本国内源泉所得と日本に送金された国外源泉所得、非居住者は日本国内源泉所得となります。まとめると、以下のようになります。
区分 定義  課税対象所得
居住者 永住者 国内に住所を有し又は現在まで引き続いて1年以内居所を有する個人のうち非永住者以外の者 全世界所得
非永住者 日本国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内の間、 国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下の個人 日本国内源泉所得と、日本に送金された国外源泉所得
非居住者 居住者以外の個人 日本国内源泉所得
ご質問の方は、現時点では日本に居住しているため「居住者」となりますが、あらかじめ1年以上の米国居住が確定したうえで出国した場合、米国移住後は、「非居住者」になるものと考えられます。
ここで、配当金については、所得税法第161条第5号で日本国内源泉所得と規定されており、非居住者であっても日本での課税対象となります。現行の税法では、個人大口株主を除き、当該配当金を支払う上場会社によって配当金の7%を源泉徴収され、源泉徴収により課税は完結します。
ただし、平成24年1月1日以降に支払を受ける配当金については、源泉徴収税率は15%となる予定です。
一方、日米租税条約では、米国に居住している個人が日本から受け取る配当金について、日本での限度税率は10%となっています。当該租税条約の適用を受ける場合は、その支払を受ける日の前日までに、所定の事項を記載した届出書に特典条項に関する付表(添付書類を含む)を添付し、その源泉徴収義務者を経由してその源泉徴収義務者の納税地の所轄税務署に届出をする必要があります。
現時点では、日米租税条約の限度税率10%の方が、現行税率7%より高くなっていますが、その場合は日米租税条約の適用はなく現行税率7%が適用されることとなります。平成24年1月1日以降に配当金を受ける場合は、速やかに届出書を提出する等の対応をお勧めします。
最後に、非居住者に関連する税務は複雑であるため、具体的な話については専門家にご相談することをお勧めいたします。