What's New 更新情報

証券新聞『公益法人等における証券投資の税務上の取扱い』

2011-05-10 (Tue) 12:56
Q.私が理事を務める特例民法法人では現在、公益法人または一般法人への移行を検討していますが、
どちらに移行するかで、証券投資にかかる税務上の取扱いが異なるという話を耳にしました。
この点について詳しく教えてください。
20110510

A.
(1)公益社団・財団法人、(2)非営利性が徹底された一般社団・財団法人(非営利型法人)、
(3)その他の一般社団・財団法人の3つのいずれに該当するかで、税務上の取扱が異なります。
さらに厳密に言えば、どのタイミングで特例民法法人から移行するかによっても差異が生じます。
移行前後の法人運営資金の多寡に関わってくる問題ですので、(1)~(3)のいずれに移行するか、
いつ移行するかの判断にあたっては、税務上の有利不利は当然に検討しておくべき項目といえます。

次の表に、証券投資の課税関係をまとめました。
  (1)公益法人 (2)非営利型 (3)その他一般 特例民法法人
(1)課税対象 収益事業(公益事業除く)所得 収益事業所得 全ての所得 収益事業所得
(2)法人税率 30% 22%
(3)利子等にかかる源泉所得税 非課税 源泉徴収あり(収益事業以外は税額控除又は還付されない) 源泉徴収あり 非課税
(1)課税対象
(1)公益法人では、収益事業(公益事業を除く)から生ずる所得に対して課税されます(法法2条13号)。
ここで、収益事業とは、具体的には製品販売業、不動産販売業等の34業種をいい(法令5条1項)、
「有価証券への投資」自体はこの収益事業に含まれていません。
したがって、基本的に公益法人においては証券投資から生ずる利子・配当等に対して
法人税は課されません(法法7条)。

(2)非営利型法人においても、収益事業から生ずる所得に対して課税されますので、
基本的に証券投資から生ずる利子・配当等に対して法人税は課されません(法法7条)。
非営利型法人とは、次のいずれかの要件を満たす法人をいいます(法法2条9の2号)。
・事業により利益を得ること又はその得た利益を分配することを目的としない法人であって、
 その事業を運営するための組織が適正であるものとして、一定の要件を満たすもの
・会員から受け入れる会費によって当該会員に共通する利益を図るための法人であって、
 その事業を運営するための組織が適正であるものとして、一定の要件を満たすもの

(3)その他の一般法人では、収益事業のみならず、全所得に対して法人税が課されます。
したがって、有価証券投資から生ずる所得に対しても法人税が課されます。
特例民法法人においては、(1)、(2)と同じく収益事業のみ課税となりますので、基本的に証券投資から生ずる利子・配当等に対して法人税は課されません。

(2)法人税率
特例民法法人における法人税率は22%となっていますが、(1)~(3)へ移行後は、
法人税率は30%(800万以下の所得は22%)となります(法法4条1項、7条、66条)。
この点に着目し、移行期限である平成25年11月30日の直前に移行申請を行った方が有利との考え方も
ありますが、申請を審議する側の処理が現状既に滞りつつあるとの話も耳にします。
直前に申請して却下された場合には、即解散のおそれもあり、先延ばしには相応のリスクが伴います。

(3)利子等にかかる源泉所得税
(1)公益法人及び特例民法法人では利子等にかかる源泉所得税は基本的に非課税とされていますが、
一般社団・財団法人((2)、(3))においては源泉徴収が行われます(所法11条1項)。  
なお、非営利型法人において税額控除(還付)ができるのは、利子等が収益事業に属する場合に限られます。
 
余談になりますが、(1)~(3)のいずれの法人形態に移行するかは、概ね次の項目を総合的に判断して
行われるのが望ましいです。
・法人税負担の多寡 ・寄附者への税制上の優遇の有無 ・公益認定基準達成の困難性 
・行政官庁の監督 ・公正な運営の確保 ・社会的信用の有無
 一般論として、税務上のメリットや公正な組織運営を重視するのであれば公益社団・財団法人((1))、
 自由度の高い運営を期待するのであれば一般社団・財団法人((2)、(3))が推奨されます。
 公益法人があらゆる面で優れているという訳ではありませんので、公益法人ありきで検討を行うのではなく、
 各法人の個別事情に最も合致する形態を選択すべきです。

移行作業が捗っていない特例民法法人におかれましては、お早めに公認会計士・税理士等の専門家に
ご相談ください。
RSS 2.0