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証券新聞『相続により取得した株式を発行会社に譲渡した場合』

2011-04-21 (Thu) 10:02
Q.私の父はX社(非上場)の創業者であり、現在は私が後継者として経営を任されています。
先日父が他界し、私は遺産であるX社株式を相続しましたが、X社株式の評価額が高額であったことから、
多額の相続税の納付が必要であることが判明しました。
 父の遺産にはある程度の金融資産もありましたが、これらだけでは相続税の額には大きく足りないため、
X社株式をX社に売却して現金化することを検討しています。株式を発行会社に譲渡した場合には
多額の所得税がかかると聞いたことがあるのですが、経営者仲間の友人から、
相続により取得した株式を発行会社に譲渡した場合には特例があると聞きました。
そのような特例があるのでしょうか、ご教示ください。
20110421


A.
(1)株式を発行会社に譲渡した場合の原則的な扱い(みなし配当課税)
 個人が非上場株式を第三者(発行会社以外)に譲渡した場合には、株式の譲渡価額と取得価額との差額が譲渡損益となります。
譲渡損益は譲渡所得として分離課税の対象となり、一律20%(所得税15%、住民税5%)の税率が適用されます。

図1







 しかし、個人が非上場株式を発行会社に譲渡した場合は、第三者に譲渡した場合とは異なる課税上の扱いとなります。
株式の譲渡価額がその株式に対応する資本金等の額を超える部分について、みなし配当があったものとされます。
また、その株式に対応する資本金等の金額と取得価額との差額が株式譲渡損益となります。
 みなし配当は配当所得として総合課税の対象となり、最高で43.6%(所得税40%、住民税10%、配当控除6.4%)の税率が
適用されます。一方で、譲渡損益は譲渡所得として分離課税の対象となるため、譲渡損失が生じた場合でも配当所得とは
損益通算されません。給与所得など他の総合所得が多い方や、みなし配当の額が多額となる方は、
所得税の負担が重くなることになります。

図2
 
 





(2)相続により取得した株式を発行会社に譲渡した場合
 相続により取得した株式を、相続開始後3年10ヶ月以内に発行会社に譲渡した場合には、みなし配当課税が停止されるという
特例があります。
 この特例が適用される場合には、譲渡損益は譲渡所得として分離課税(一律20%)の対象となります。
一般的にはみなし配当課税が適用される場合と比較して所得税の負担額が軽くなるケースが多いといえますので、
相続税の納税資金を検討する場合には有用性の高い制度です。
 但し、この特例を適用できるのは、株式を譲渡する方が相続税法の規定により納付すべき相続税額がある場合に限られていますので
注意が必要です。相続財産が相続税の非課税額の範囲内の場合や、配偶者の税額軽減の特例の適用により相続税を
納めなくてもよい方が株式を譲渡する場合などにはこの特例の適用はありません。
 
(3)相続税の取得費加算の特例
 また、ご質問のケースでは、みなし配当課税の停止の特例以外にも、相続税の取得費加算の特例も適用されるものと考えられます。
この特例は、相続により取得した財産を、相続開始後3年10ヶ月以内に譲渡した場合に、
納付すべき相続税のうち一定の算式により計算した金額を譲渡資産の取得価額に加算して、譲渡所得の計算上控除できるという制度です。
 非上場株式の相続の場面では、相続株式の評価の方法や相続税の納税資金の工面など悩ましい問題が多いですが、
税務上も上記のような特例が設けられています。どのような特例が適用可能かを十分に検討することをお薦めいたします。
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