What's New 更新情報

証券新聞1/7『平成23年度税制改正大綱(個人編)』

2011-01-07 (Fri) 11:00
平成22年12月16日に、平成23年度税制改正大綱が発表されました。
大綱では、法人実効税率の5%引下げなどの減税措置が盛り込まれる一方で、相続税の課税ベースの拡大、給与所得控除の縮減などの増税措置も盛り込まれており、法人減税、個人増税の色合いが強く出ている税制改正といえます。今回はその中で金融証券税制を中心に、個人の所得課税に関する主要な改正点について、ご紹介いたします。
参議院で野党多数という「逆転国会」のもとで閣議決定された大綱であり、来年3月末での法案成立まで予断を許さない状況です。
今後修正等が入る可能性がありますので、その点はご了承ください。
20110107

1.金融証券税制に関する改正内容
(1)上場株式等の軽減税率の適用期限の延長
上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る10%軽減税率については、景気回復に万全を期すため、適用期限が2年延長され、
平成25年12月までとされました。平成26年1月からは、本則税率である20%が適用されます。

(2)非課税口座(日本版ISA)の延期
非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得、譲渡所得の非課税(いわゆる日本版ISA)については、平成24年1月1日からの施行とされていましたが、上場株式等の軽減税率の適用期限の2年延長に伴い、あわせて2年延長されることとなり、平成26年1月1日からの施行とされます。

(3)先物取引に係る雑所得等の課税の特例及び損失繰越控除の適用対象の拡大
FX取引(外国為替証拠金取引)などの先物取引に係る雑所得の課税方法は、店頭FX取引などの店頭デリバティブ取引等については
総合課税(最高税率50%)である一方、「くりっく365」などの市場デリバティブ取引等については20%申告分離課税の特例が
設けられており、課税方法が異なっています。
また、店頭デリバティブ取引については損失繰越が認められない一方で、市場デリバティブ取引については3年間の損失繰越控除の特例が認められています。大綱では、金融商品間の課税の中立性を高める観点から、20%申告分離課税の特例及び3年間損失繰越控除の特例の適用対象を店頭デリバティブ取引等にも拡大しています。これらの改正は、平成24年1月1日以後の取引について適用されます。

(4)大口株主等の要件の見直し
上場株式等からの配当所得について総合課税の対象となる大口株主等の持株比率要件が、現行の5%以上から3%以上に引下げられます。このため、上場株式等の持株割合が3%以上5%未満の個人株主においては、現行では配当所得について10%の軽減税率が適用されていますが、改正後は総合課税(最高税率50%)が適用されることとなります。この改正は、平成23年10月1日以降に支払いを受ける配当等について適用されます。

(5)特定口座受入対象の拡大
特定口座は、個人投資家の納税事務の負担を軽減する観点から設けられた制度ですが、特定口座に受け入れることができる上場株式等は税法に限定列挙されています。この特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲が拡大され、(イ)一定の手続をとった生命保険会社の社員に割り当てられた上場株式等(ロ)株式無償割当により取得した上場株式等(ハ)新株予約権等の行使により取得した上場株式等、などが新たに受入可能となります。
 

2.その他の個人所得課税に関する主な改正内容
(1)給与所得控除の見直し
 給与等の収入金額が1500万円を超える場合の給与所得控除に245万円の上限が設けられます。また、取締役などが受ける役員給与等の収入金額が2000万円を超える場合の給与所得控除が縮小されます。これらの改正は、平成24年分以後の所得税及び平成25年分以後の個人住民税について適用されます。

(2)退職所得の課税方法等の見直し
 退職金の課税には優遇措置が設けられており、退職所得控除額を控除した額の2分の1について課税する方式となっていますが、勤続年数が5年以下の役員等が受ける退職手当等については、この2分の1課税の優遇措置が廃止されます。また、退職所得に係る個人住民税は現行では10%税額控除の優遇措置が設けられていますが、これが廃止されます。これらの改正は、平成24年1月1日以降に支払われる退職手当等について適用されます。

(3)生命保険契約の一時所得の経費の明確化
生命保険契約の保険料負担者が法人、死亡保険金受取人が法人、満期保険金受取人が個人であるような契約形態では、満期保険金を受け取った個人の一時所得の計算上、法人が負担した保険料の全額を必要経費とする取り扱いが行われ、国側が最高裁に上告している事案があります。いわゆる逆ハーフタックスプランと呼ばれる契約形態ですが、大綱ではこれに規制をかけるため、一時所得の計算上、必要経費とできる法人負担保険料を給与所得の計算に算入されたものに限る旨を法令に規定することとしています。この改正は、平成23年4月1日以後に支払われる生命保険契約等に基づく一時金について適用されます。