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証券新聞12/16『みなし取得費特例措置終了』

2010-12-16 (Thu) 16:42
Q.この年末でみなし取得費の特例措置が終了となるようですが、この特例の内容と、終了による影響及び対策を教えて下さい。
20101216
A.この年末、平成22年12月31日で株式売却にかかる所得税計算における、みなし取得費の特例措置が
終了となります。昔から株式を所有したまま売買していない方や、株式を相続された方など、この制度の終了による影響を受けるケースが多くあるかと思われます。いま一度、制度の概要、終了による影響、影響を受ける場合の対策についてご説明させて頂きます。

1.みなし取得費の特例措置とは
みなし取得費の特例措置とは、平成13年9月30日以前から引き続き所有していた上場株式等を、平成15年1月1日から平成22年12月31日までに譲渡した場合におけるその上場株式等の譲渡による譲渡金額の計算上収入金額から控除する取得費は、所得税法に規定する計算による金額(以下「実際の取得費」という。)にかかわらず、その上場株式等の「平成13年10月1日における終値」の80%に相当する金額(1円未満切り上げ)(以下「みなし取得費」という。)とすることができる制度です。つまり、平成13年9月30日以前より引き続き所有している上場株式の売却益の計算では、実際の取得費とみなし取得費を比較して、納税者にとって有利な方を選択することができる制度です。売却益が出るケースだけでなく、売却損の出るケースでもみなし取得費を使用することができます。ただし、一般口座での売却に限られ、特定口座での売却には適用できません。

2.終了による影響
 みなし取得費で譲渡損益が計算できなくなることから、実際の取得費がみなし取得費より低い場合や、実際の取得費が不明の場合(売却代金の5%を取得費とする場合。)について、譲渡損益がみなし取得費を適用した場合と比較して大きく計算されることから、税務上不利になる可能性があります。みなし取得費適用の対象となる平成13年9月30日以前より引き続き上場株式を所有している場合で、実際の取得費がみなし取得費より低い銘柄や相続等による取得のため、そもそも取得費が不明の銘柄を所有している方は、影響を受ける可能性が大いにあります。なお、特定口座で管理されている方で、特定口座へみなし取得費で振替えている方については、振替時点で取得費がみなし取得費で確定していることから影響受けることはありません。ただし、特定口座に実際の取得費で振替えている場合は、一般口座と同様に影響をうける可能性があります。
 特例終了による影響を受ける可能性のある方をまとめますと、次の3つの要件全てに該当する場合となります。
  • 平成13年9月30日以前より引き続き上場株式を保有している。
  • 実際の取得費が、みなし取得費よりも低い。若しくは、取得費が不明。
  • 一般口座で保有している。若しくは、特定口座で保有しているが、実際の取得費で振替えている。
3.対策
 上記3要件に該当することを確認され、みなし取得費を適用することが税務上有利であると判断された場合は、今年中に当該銘柄を売却することで、みなし取得費を適用することを検討する必要があります。なお、売却の約定は12月中ぎりぎりに間に合ったが、引き渡しは年を超えてしまった場合でも、所得税法上の譲渡損益を約定日で認識することも可能ですので、みなし取得費を適用することができます。
 なお、一般口座で保有している場合は、売却することにより、みなし取得費を適用することができます。特定口座で保有されている方は、特定口座内で売却の場合はみなし取得費は適用することができませんので、いったん一般口座へ振替える必要があります。
 また、何らかの理由で当該株式を保有しておく必要等がある場合は、売却することでみなし取得費適用による譲渡損益を確定させた後、再度同銘柄を取得して、取得費を現在の価額とする、いわゆるクロス取引による対策も考えられます。

4.取得費の確認方法
 そもそも実際の取得費がわからなければ、みなし取得費適用が有利かどうかわからないという方は、下記のいずれかの方法で調べてみては如何でしょうか。
  • 取引報告書により確認
  • 顧客勘定元帳により確認(証券会社等にて10年間保存義務あり)
  • ご自身の手控え(例:日記帳や預金通帳)
  • 保有株式の名義書換日を確認して、取得時期を把握して新聞等により確認
(国税庁ホームページより)

5.おわりに
 平成15年に創設された、確定申告時に取得費が不明の株式についての特例が、今年で終了となります。対策をご検討の際は、お取引のある証券会社や税理士等専門家にご相談下さいますようお願いします。