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証券新聞10/7『納税猶予制度を利用する際の留意点』

2010-10-07 (Thu) 10:27
Q.(現在67)は妻(現在58)と二人で20年前に会社を設立し、今日まで経営者として邁進してまいりました。ゆくゆくは一人息子(現在28)に後を継いでもらいたいと考えておりますが、最近、相続が起きたときのことが心配になってまいりました。
知人に相談してみたところ、相続税の納税猶予制度があるという話をされました。
なんでも、会社の株式にかかる相続税額の
80%が猶予されるとのことで、納税資金がほとんどない私共にとってはうってつけの制度だと思いました。当該制度を利用するにあたって、何か留意すべき点などあれば、
ご教示いただけますでしょうか。
【現状の株式保有状況】
 
(代表取締役)
(取締役)
取引先等
議決権保有割合
50%
30%
20%
100%

20101007


A.
あなたが保有する会社の株式を、まずは一緒に経営されていた奥様に相続させる方法が考えられます。
ご質問のケースの検討に入る前に、ポイントとなる事項を挙げておきます。
 (1)旧代表者および後継者が満たすべき要件
相続税の納税猶予を受けるために、旧代表者および後継者が満たすべき要件が定められています(措法7072(2)三、措令40の8の2(1))
・旧代表者の要件…(1)会社の代表者であったこと、(2)同族関係者とあわせ総議決権数の50/100超を保有していること、(3)同族関係者内で筆頭株主であること
・後継者の要件…(1)同族関係者とあわせ総議決権数の50/100超を保有していること、(2)同族関係者内で筆頭株主であること、(3)会社の代表者であること、(4)被相続人の親族であること
(2)納税猶予を受けられる議決権割合の上限
相続税の納税猶予を受けられるのは、最大で、総議決権の2/3に相当する部分までです(措法7072(1))
(3)相続後3年以内に行う自社株買いの特例
相続税申告期限の翌日以後3年以内に自社株買いを行った場合には、売却にかかる所得につき、税率20%の分離課税(通常、売却価額のうち資本金を上回る部分は配当とみなされ最高税率50%の総合課税)となります(措法97(1))
また、当該所得の計算において、自社株式にかかる相続税額を、取得費に加算できます。つまり、その分だけ所得が減少し、税額も減少します(措法39(1))
さて、ご質問のケースですと、仮にあなたが保有する株式を全て息子さんに相続させた場合、あなたは前述の旧代表者の要件を満たしているため、あなたが保有する50%分については納税猶予を受ける余地があります。しかしその後、今度は奥様に相続が発生した場合、奥様は同族関係者で50/100超保有しているものの、会社代表者ではなく、また同族内の筆頭株主ではない(息子さんが筆頭株主になる)ため、奥様が保有する30%分については納税猶予を受けられません。結果、息子さんは通常通り相続税を支払わねばならず、また、あなたと奥様の相続を通じ納税猶予の枠2/3を全て使いきれません。
そこで、あなたが保有する50%と合わせて80%を保有する筆頭株主となるので、あとは奥様を会社代表者にすれば、前述の問題は解消され、奥様は猶予制度を受けることができます。その後、奥様に相続が発生した際は、今度は息子さんを会社代表者にすれば、総議決権数の2/3に達するまでの部分(80%のうち66.7%)につき再び納税猶予を受けることができ、相続税負担の大幅な圧縮につながります。なお、奥様から息子さんへの経営の承継については、贈与税の納税猶予制度を活用することも考えられます。
最終的に納税猶予の適用を受けられなかった部分(80%のうち13.3%)については、売却しても納税猶予を取り消されることはありません。もし会社に余裕資金があれば、前述のとおり自社株買いによって通常より少ない税負担での売却が可能となります。当該売却代金を相続税の納税に充てれば、納税資金不足の問題も解消されます。
納税猶予制度は、適用を受けるための条件が他にも数多く存在しますので、当該制度の活用を検討される際は、税理士等の専門家にご相談されることをお奨めします。
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