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証券新聞20100902

2010-09-02 (Thu) 13:17
Q.所有している株式の株価が下がっているため、今のうちに息子へ贈与して将来の相続に備えようと考えています。その場合に、適用するとメリットがある相続税における制度があるそうですが、どのような制度でしょうか。
20100902

A.相続時精算課税の活用が考えられます。
相続時精算課税とは、特定の贈与者からの贈与について当制度を選択することにより、その方からの贈与は、通常の贈与税の計算によらず、贈与金額2,500万円まで贈与税はかからず、それを超える部分の20%に相当する贈与税をいったん納め、相続の際にそれまで贈与した財産を加算したところで相続税を計算し、すでに納めた贈与税を控除して相続税を納める制度です。また、相続時に加算する贈与した財産の価額は贈与時の価額となるため、今後価額の上昇が見込まれる財産についてこの制度を適用することにより、相続税を相対的に減少させることが可能となります。
制度の概要は次のようになります。
(1)     適用対象者
贈与者は65歳以上の親、受贈者は20歳以上の子(子が亡くなっている時は20歳以上
の孫を含む)です。年齢は、贈与をした年の1月1日で判定します。
(2)     相続時精算課税を適用した場合の贈与税額の計算
相続時精算課税を選択した受贈者は、相続時精算課税に係る贈与者から1年間に贈与を受けた贈与財産の価額を他の贈与財産の価額と区分して合計します。その贈与財産の価額の合計額から、2,500万円の特別控除額(複数年にわたって利用可)を控除した残額に20%の税率を乗じて得た額が贈与税額です。
(3)     相続時精算課税を適用した場合の相続税額の計算
相続時精算課税を選択した受贈者は、相続時精算課税に係る贈与者の相続時に、それまで取得した贈与財産の価額と相続財産の価額を合算した額に基づき計算した相続税額から、すでに支払った贈与税額を控除して、相続時に納付すべき相続税額を計算します。相続財産の価額と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額です。またその際、相続税額から控除しきれない贈与税は、還付を受けることができます。
(4)     適用手続
受贈者が相続時精算課税を選択するには、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、相続時精算課税選択届出書を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類を贈与税申告書に添付して所轄の税務署長に提出します。相続時精算課税は、最初の贈与を受けた年より相続時まで継続して適用されます。いったん相続時精算課税を選択すると、取り消すことができません。
では、簡単な設例で考えてみます。
(なお単純化のため、相続税計算の際の控除は基礎控除のみを考慮しています。)
被相続人:父
相続時の財産 株式5,000万円(贈与時4,000万円)、その他資産1億円
相続人:子1人
パターン(1)(相続時精算課税は適用せず、全て相続により取得した場合)
(贈与税)
なし
(相続税)
課税財産価額:5,000万円+1億円-基礎控除(5,000万円+1,000万円)=9,000万円
相続税額:9,000万円×30%-700万円=2,000万円
パターン(2)(相続前に株式を子に贈与し、相続時精算課税を適用した場合)
(贈与税)
贈与税額:(4,000万円-2,500万円)×20%=300万円
(相続税額)
課税財産価額:4,000万円+1億円-基礎控除(5,000万円+1,000万円)=8,000万円
相続税額:8,000万円×30%-700万円-300万円=1,400万円
贈与税額・相続税額合計:300万円+1,400万円=1,700万円
以上のように、贈与財産の価額が上昇した分相続税が減少することとなります。
相続時精算課税は、一度選択すると通常の贈与税の計算に戻ることができないことや、
贈与により取得した財産が相続時に滅失等してなくなったとしても相続財産に含めなければならないなど留意点もありますので、選択の際は十分検討する必要があります。