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証券新聞20100604

2010-06-04 (Fri) 09:34
Q.私の父はX社(非上場)を経営しています。X社の株式は父が45%、父が全額出資設立したY社(非上場)が55%保有しており、Y社の保有資産はX社株式のみです。X社の事業は長男の私が継ぐこととなっていますが、X社株式・Y社株式とも高株価となっており相続税負担が懸念されることから、平成21年度税制改正で創設された「非上場株式等の相続税の納税猶予の特例」の活用を検討しています。
X社は特例に定める要件を満たす会社ですので、X社株式については納税猶予の特例を受けられると思うのですがどうでしょうか。またY社株式についてはどうでしょうか。ご教示ください。
20100604

A. ご質問のとおり、平成21年度税制改正で「非上場株式等の相続税の納税猶予の特例」(以下、事業承継税制)が創設されました。
事業承継税制は、「認定対象会社」「先代経営者」「後継者」の3者が一定の要件を満たす場合に、後継者が相続等により取得した認定対象会社株式(一定の部分に限る)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予する制度です。
事業承継税制における一定要件のうち主なものは以下の通りです。
認定対象会社の主な要件
先代経営者の主な要件
後継者の主な要件
・中小企業者であること
・非上場会社であること
・事業実態のない資産保有型会社または資産運用型会社に該当しないこと
・総収入金額が零でない
こと
・常時従業員数が1人以上
・会社の代表者であった
こと
・同族関係者で50%超の議
決権を保有し、かつ後継者を除いたこれらの中で筆頭株主であったこと
・相続開始から5ヶ月後に
おいて会社の代表者であること
・先代経営者の親族である
こと
・相続開始時において同族
関係者で50%超の議決権を保有し、かつ筆頭株主であること
この要件にあてはめてみますと、まずX社株式については、父上が同族関係者の中で筆頭株主ではないため先代経営者の要件を満たしておらず、事業承継税制の特例は受けられません。
特例を受けるためには、父上が筆頭株主となるよう資本政策を検討する必要があると思われます。資本政策としては、(1)父上がY社からX社株式を5%以上買取る、(2)Y社がX社株式を10%以上X社に譲渡する(金庫株)、などが考えられます。
また、Y社株式については、保有資産がX社株式のみとのことですので、資産保有型会社または資産運用型会社に該当するか否かがチェックポイントのひとつになります。
資産保有型会社および資産運用型会社の定義は以下の通りです。
資産保有型会社
資産運用型会社
 
特定資産の簿価の合計額+配当等
≧70%
 
特定資産の運用収入の合計額
75%
総資産の帳簿価額の総額+配当等
総収入金額
特定資産には現金預金、有価証券、自らが使用していない不動産などが含まれますが、事業実態のある特別子会社(その会社、代表者、同族関係者で議決権50%超を有する会社)の株式は含まれません。X社は事業実態のある特別子会社に該当する場合には、X社株式は特定資産からは除かれることとなりますので、Y社は資産保有型会社・資産運用型会社のいずれにも該当しない可能性があるものと考えられます。
ご質問のケースでは詳細が明らかではありませんが、Y社が資産保有型会社・資産運用型会社のいずれにも該当せず、かつ事業承継税制における他の要件を満たす場合には、Y社株式について事業承継税制が適用できる可能性があります。
なお、事業承継税制の適用を受けるためには、原則として相続発生前に事前に「経済産業大臣の確認」を受けるとともに、相続発生時に「経済産業大臣の認定」を受ける必要があります。また、事業承継税制適用後は株式の継続保有や所轄税務署への継続報告などの要件が必要となりますのでご留意ください。