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証券新聞20100511

2010-05-11 (Tue) 13:29
Q.企業の資金調達手段の一つであるライツ・イシューの利便性を高めるために、東京証券取引所が有価証券上場規程施行規則を変更したという話を聞きました。どういった内容の変更でしょうか。また、同変更により所得税法上留意すべき事項はありますでしょうか。

20100511


A.ライツ・イシューとは、企業が新株予約権を既存の全株主に無償で割り当て、株主が新株予約権を行使し資金を払い込むことで資金調達を図る方法をいいます。新株予約権を行使し新たに株式を取得することが株主にとって唯一の選択肢ではありません。新株予約権自体を売買できるよう、東京証券取引所などで新株予約権を上場できる仕組みとなっています。ところが、従来東京証券取引所における新株予約権の上場基準は、新株予約権1個の目的である株式が上場株式1株の場合に限られており、ライツ・イシューの使い勝手の悪さが指摘されていました。そこでこういった指摘に対応し、ライツ・イシューの利便性を高めることなどを目的として昨年12月に上場基準(有価証券上場規程施行規則第306条)が改正されています。結果、平成211230日以降、新株予約権1個の目的である株式が1株未満である新株予約権の上場が可能となりました。
こういった新株予約権の場合、行使の個数によっては取得する上場株式の株数に1株に満たない端数(=端数株式)が生じる可能性があります。新株予約権の内容が端数株式について切り捨てることとなっている場合を除き、新株予約権の行使の日における当該上場株式の市場における最終の価格に端数を乗じて計算した額を金銭により新株予約権を行使した者に対して交付する必要があります。
つまり、今後投資している会社によりライツ・イシューが行われた場合には、保有株数や新株予約権の内容によっては端数株式が生じ、金銭による交付を受ける可能性があります。
これら一連の取引について居住者の税務上の扱いは次の通りになると考えられます。
 
<新株予約権の無償割当時>
新株予約権の無償割当が行われた場合には、課税関係は生じません。また、当該新株予約権の取得価額は零円となります。
なお、当該新株予約権は特定口座への受入れはできません。
 
<新株予約権の行使時>
新株予約権の行使が行われた場合には、新たに上場株式を取得することとなります。この場合、新たに取得する上場株式の時価がその行使時の払込金額を上回っても、その上回る部分の金額(権利行使益)について課税関係は生じません。
 
<端数株式について金銭が交付される場合>
端数株式について金銭が交付される場合には株式等に係る譲渡所得等として課税関係が生じ、交付された金銭の額が、株式等に係る譲渡所得等の収入金額となります。
なお、1株に満たない端数株式が発行会社により取得され、当該株式の市場価格等に相当する金額が金銭で支払われているため、みなし配当の適用もあるように考えられます。しかしみなし配当課税においては、「会社法第283条に規定する1株に満たない端数に相当する部分」の対価としての金銭の交付は対象としない旨定められているため、みなし配当課税の適用対象外と考えられます。
一方、端数株式の取得価額は次のように計算します。
取得価額=
取得価額合計(※1)×
端数株式数
取得株式数合計(※2)
 
※1:新株予約権の行使に際して払い込みをした金銭の額+新株予約権の取得価額(零円)+取得のために要した費用の額
※2:新株予約権行使により取得した株式数の合計(端数株式も含む)