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証券新聞20100422

2010-04-22 (Thu) 16:53
Q.私は外国為替証拠金取引を始めようと思っていますが、取引所取引と店頭取引とで税務上の取扱いが異なると聞きました。両者の違いを教えてください。
20100422


A.
平成
10年の外為法の改正による自由化から早12年、外国為替証拠金取引(FX取引)は一般化され、世の投資家の資産運用手段の一つとして広く浸透してきました。
FX取引から生じた損益については、上場株式等とは課税の仕組みが異なっており、また、FX取引の中でも取引所を通じた取引と仲介業者等を通じた店頭取引とに分かれていることから、確定申告にあたってとまどった方も多かったと思います。
従来は取引所を通じた取引は東京金融取引所の「くりっく365」のみでしたが、平成217月に大阪証券取引所が「大証FX」という外国為替証拠金市場を開設したことにより、現在ではこの二つの取引所から選択することができます。
投資家はFX取引を始めるにあたって、取引所での取引と店頭取引とを選択することができますが、投資家に取引所で取引を行うインセンティブを与えるため、一般個人に対しては取引所取引は店頭取引よりも税制上有利に規定されています。
両者の税務上の取扱いを比較すると次のようになります。
 
取引所取引
店頭取引
(1)課税の方法
申告分離課税(一律20%)
総合課税(累進税率)
(2)他の取引所先物取引との損益通算
可能
不可
(3)損失の繰越
3年間可能
不可
 
(1)       FXの取引所取引、店頭取引はいずれも雑所得に区分されますが、取引所取引の場合は申告分離課税で、税額は一律20%(所得税15%、地方税5%)となります。一方、店頭取引は総合課税として課税されることから累進税率であり、所得が330万円を超える部分については、取引所取引の方が税負担が小さくなるといえます。
(2)       FXの取引所取引によって生じた損益は、他の取引所先物取引(申告分離課税とされる先物取引)で発生した損益と損益通算が可能です。一方、店頭取引によって生じた損益は他の取引所先物取引からの損益と通算することはできず、総合課税とされる雑所得の範囲内でのみ通算が可能とされているに過ぎません。
(3)       FXの取引所取引によって損失が生じた場合、その年に損益通算しきれない損失については、確定申告を行うことにより翌年以後3年間繰り越すことができます。一方、店頭取引により生じた損失は翌年度以降への繰越が認められません。
 
国税不服審判所の裁決事例においても、FX取引のうち店頭金融先物取引に係る所得については租税特別措置法に規定する分離課税及び損失の繰越控除が認められないとした事例が公表されています。
なお、取引所取引、店頭取引のいずれの場合であっても、給与所得者で年間の給与収入額が2000万円以下であり、給与及び退職金以外からの所得が年間20万円以下である場合には所得税の確定申告の義務はありません。
 
FX取引を扱う仲介業者に関しては,東京金融取引所と異なり、平成20年までは顧客の取引を記した書類を税務署に提出する義務がありませんでした。これにより、取引の大半を占める店頭取引において投資家の申告漏れが目立っていました。
しかし、平成20年度の税制改正によって支払調書制度の整備が行われ、FX取引を取扱う金融商品取引業者は,平成2111日以後に行われる取引については,取引損益等を記載した支払調書を税務署に提出することが義務付けられました。
これにより、店頭取引についても税務署はタイムリーに取引損益を把握することが可能になりましたので、くれぐれも申告漏れにはご注意ください。